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After the sports festival


女子更衣室。夜月たち生徒は制服に着替えるため、更衣室に訪れていた。ロッカーに向かいながら体育着を脱いでいく。


「いっ……」


片腕からジャージを脱ぐ際、爆豪と戦って負傷した腕が疼いた。個性で瞬歩や加速も多く使ったせいもあり、体の内面もボロボロだ。
片腕を痛みで抑えていると、心配そうに麗日が顔をのぞいてきた。


「夜月ちゃん、大丈夫……?」

「うん。ありがとう、お茶子」


大丈夫だと一笑すると、麗日は心配そうな顔から安心した笑みに変わっていった。ふにゃ、と笑う彼女にクスリと零す。


「夜月対爆豪戦、ヒヤヒヤして心臓止まるかと思った……」

「あれでヒヤヒヤしないほうがおかしいわ」


はぁ……と胸に手を当てて安堵の息を吐く、耳郎と蛙吹。


「ねぇ、ホント凄かった! バァンって爆破したんだもん!」

「目の前だったもんね。ホントに大丈夫なの? 顔とか」


葉隠と芦戸がそう言って夜月をみる。
やっと腕からジャージを抜くことができた夜月は苦笑いをした。


「あの時ばかりは、死ぬかと思ったわ……」

「だよねー、あんなの貰ったら死んじゃうって」


想像した芦戸がそう言った。
髪をほどいて、体育着を脱いで。やっとスカートとブラスを見に包むことができた夜月。襟にネクタイを通しながら、ロッカーについている鏡を見る。


「……夜月さんは、凄いですわ」


今まで黙って着替えていた八百万がそう口を開いた。
自然と周りの視線は八百万に向いた。夜月は鏡に映った八百万の後姿を見つめた。


「常闇さんや爆豪さんあそこまで追い詰めて、三位にもなって。本当にすごいと思いました。私なって、何も……」


そこで言葉は切れてしまったが、八百万が言いたいことはわかる。
夜月はネクタイを結ぶ手を再び動かしながら、口を開いた。


「そんなに自分を卑下しなくてもいいじゃない」

「え?」


鏡越しに見ていた八百万が振り返った。


「卑下するんじゃなくて、今日のことを生かせばいい。君は頭もいいし、素晴らしい力も持ってる。だから、ね?」


キュッとネクタイを結び終え、振り返って八百万を見た。
口を小さく開けていた八百万が口を結び、「はい!」と覇気のある声を出した。


「私、頑張りますわ!」

「うん、みんなで頑張ろうね」

「よーし、頑張るぞー!」

「おーう!」


芦戸、葉隠、麗日が元気に、控えめに耳郎が、笑顔で蛙吹が混ざってそう言った。


教室に戻ると、男子は全員既に戻っていた。
制服の袖から見える包帯。夜月が教室に入ると切島、瀬呂、上鳴を筆頭にわぁっと夜月の周りに集まっていき、試合がすごかった、怪我は平気なのかと聞かれまくった。

落ち着きを取り戻し、怪我をしてない手で椅子を引き座ると相澤が教室に入ってきた。


「おつかれっつう事で、明日、明後日は休校だ」


周りが席に着いたと同時に話し始めた相澤。
自分の席からいくつか前の爆豪からは、不機嫌なオーラがにじみ出ている。


「プロからの指名等をこっちでまとめて、休み明けに発表する。ドキドキしながら、しっかり休んどけ。んじゃ、解散」


相澤が解散というと、皆口々に疲れたぁ等口にして、早々と席を立って帰宅していく。爆豪に関しては不機嫌を表す様にドスドスと足音を鳴らしながら教室を出ていく。

夜月も、さて、帰ろうかと立ち上がる。カバンの持ち手を持つと、ふと、轟が寄ってきた。
真っ直ぐとした瞳で夜月を見つめ、おもむろに口を開く。


「少し、付き合ってくれねぇか」