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公園でのお留守番


今日からしばらく、蒼天は仕事が忙しくて公園に来れないらしい。なのでしばらくの間、公園には俺一人だ。この公園は人通りが少なくて、蒼天との時間を邪魔されなくてすむけど一人になると途端に寂しくなる。
寂しさをまぎらわそうとブランコに座って軽く漕ぐ。行って、戻って、また行って、そして戻ってくる。その繰り返しだけだと当然すぐに飽きてくる。
おかしいなあ、ブランコってこんなつまんねえもんだったかなあ。首を傾げながらも飽きながらも、他にすることもないから漕ぎ続けた。
蒼天といると全部が楽しくて、つまんねえ時なんてなかったのにな。
蒼天と会う前の、一人の時に何をして遊んでたのかが思い出せない。別の公園で遊んでた時も、小学校が終わるまではずっと一人だったのに。
でもきっとただ記憶力がないとかそういうんじゃなくて、蒼天といる時があんまりにも楽しくて、一人じゃない時がこんなに長く続くとは思わなくて、寂しさのあった頃なんて吹き飛ばしてくれたからなんだろうなあ、と思う。
我ながらすっげー恥ずかしい事を言った。こんなの蒼天に聞かれたら、忘れてくれるまで顔会わせられねえな……。

「早く仕事終わらせて来いよなー……」

ぽつり呟いて、ブランコから飛び降りた。『もしかしたら』を期待して椿組に戻る気にはなれなかったので、今日のところは昼寝でもしてようかなあ。

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