幼馴染み以上恋愛対象未満

俺には、好きな人がいた。

3つも年上で、ガキの頃から家が近いのも手伝ってずっと一緒に遊んでた幼馴染みが。

「なぁ、彼氏が年下って、どう?」

「は?なに急に。先輩でも好きになったの?はー…生意気になったなぁ」

「はぁ?!意味わかんねぇし!ちげぇからな!例えばの話だってーの馬っ鹿じゃねぇの?!」

「はいはい、わーったわーった。年下の彼氏がどうだって話だよね?」

ゴロゴロと俺のベッドに寝転んで俺の漫画を読むソイツは、ポイッと漫画を投げ出すとベッドから起き上がる。

「年下ねぇ…微妙?」

「微妙ってなんだよ。微妙って。」

「やっぱり男の子は年下か同い年の子と付き合うのがスタンダードというか…しっくりくると思うから…?」

「なんで疑問系なんだよ…」

はぁ、とため息をはいて机の上に突っ伏した。ひんやりとした机が火照る頬を冷ましてくれるようだった。

「なに、悩みごと?お姉さん相談乗ろうか?」

ポスンと俺の目の前に腰かけたのか、わしゃわしゃと俺の頭を撫でるいつもの感触。


そう、これだ。


「あんたは私の小生意気な弟みたいなもんだから、さ?遠慮しないでさ!」

「そうかよ…」

私の弟みたいな。と、今まで言われてきた。

年も俺の方が下だし、アイツと比べれば俺なんてまだまだガキなんだろう。

少し……いや、かなり悔しい。

「……なら、さ」

だからたまにこんなことを聞いてみるんだ。

「もし、俺が、あんたのこと…柚葉のこと、好きだって…言ったら?」

チラリ、腕の隙間からアイツの…柚葉の反応をうかがう。

「は、はは…やだなぁ。そういう冗談やめてよねー!そんなのあるわけないでしょ!」

「……おう」

苦笑いして、取り繕うように誤魔化す。アイツ。

「俺があんたのこと好きになるとか…有り得ねぇっつーの」

呟いた言葉は、自分に言い聞かせるために呟いた。

そうでもしないと、いつか想いが溢れてしまいそうで怖かったから。

俺は臆病だから。

この関係が崩れるくらいなら、はじめから言わなければいいのだと、この想いに蓋をした。

初恋と呼ぶには遅すぎたし、想いを伝えるのにアイツのことを知りすぎた。

「マジで有り得ねぇから…」

終わることがわかっていたから、始められなかった。

終ることが目に見えているのなら、始めなければいいのだと。

自分に嘘をついて、押し殺したのは…初恋。

「冗談はほどほどにしろよなぁこの愚弟が」

「誰が愚弟だシバくぞ!!」


五月雨(sosaku_0502)
投稿 2013/08/02

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