迷惑を考えてくれ
朝学校に行くと玲ちゃんが不機嫌そうにこちらに寄って来た。怖いんですけど
「玲ちゃんどうしたの?そんな怖い顔して」
「喧嘩した」
「あー三谷くん?」
三谷くんとは玲ちゃんの彼氏で野球部のエースである、とても優しくて中々に顔は整っている。玲ちゃんツンデレだから苦労してるだろうな
「で?今度は何で喧嘩したの?」
「後輩の女の子から汗拭かれとった」
「あー…」
三谷くんもちょいちょいモテるからね、玲ちゃんよくヤキモチ妬いて喧嘩してる。でも玲ちゃんも告白されたりしてるから三谷くんも心配だろうな、というどっちもどっちなカップルだ
「私と言うものがありながら、何であんなことするん?」
「たぶんそれ後輩ちゃんが無理矢理拭いてただけでは?三谷くん優しいから断れなかったんだよ、そんな優しい三谷くん好きになったのは玲ちゃんでしょー」
「そうやけど…でも…」
「あー玲ちゃん泣かないで!可愛い!」
こう言うときの玲ちゃんは本当に恋する乙女で可愛い、三谷くんも幸せものだな、こんなに想ってもらえて
「玲!」
「…三谷くん」
「すまん、見とったんやろ?ちゃんと断れんでごめんな、もう玲以外の子には触られんよう気をつける、だから泣かんとって」
「三谷くん!ごめん、私が心狭いから…で、でも嫌なんやもん、三谷くんが私以外の女の子と触れあってるのみたら…」
「玲!」
「三谷くん!」
ガシッと玲ちゃんを抱きしめる三谷くん、これもいつものパターンですね。はいはいお幸せに、リア充滅せよ
「名字、ちょっと来てくれへん?」
「ん?財前君?何々?」
「うちの部長が呼んでんねん」
言われてドアの方を向けば、昨日ぶりの白石先輩がいた、今日は何だか厄日のようだ。もうやだ帰りたい
「あの何かご用ですか?」
「いや昨日金ちゃんにたこ焼きまで奢ってくれたんやろ?それでお金返しとこ思てな」
「いやいや別にいいですよ!私が勝手に金ちゃんに奢っただけなんで、先輩からは受け取れません」
いや、でも…と中々引き下がってくれない白石先輩。ほら見られてる、いろんな人に見られてるからもうやめてください、早く帰れ
「本当に気にしてないんで!もうチャイムなりますし早く教室帰った方がいいですよ」
「ほな、またあとで来るわ」
「いやまじ来ないで下さい、迷惑なんで」
そう言うと白石は目を見開き驚きの表情を浮かべる。女子にすごくモテる白石は迷惑なんていわれたことがないのだろう。ハッイケメンだからって調子のんなよコノヤロー
「別の用事も出来たし、また来るわ。ほな」
うわっ!見えた!爽やかな笑顔の後ろに黒いものが!あーもうこれ以上面倒くさいことになりませんように!切実に!神様お願い!
「なぁ」
「はい?」
「部長と何話しとったん?」
「かくかくしかじか」
「頭大丈夫か?」
「財前くん玲ちゃん並みに毒舌…昨日ね、君のとこの部活の後輩君が迷子でそれを保護したから、改めて今日お礼言いに来た感じです!はい!」
「あー金ちゃんのことやろ?あいつまた迷子なっとったんか」
「金ちゃんは可愛いからいいんだけどさ、あの部長さん何とかしてくれよ」
「俺にはどうにもでけへんわ」
「んなアホな、財前くんの先輩でしょ」
「部長に迷惑って言うとったやろ?」
「うん、聞こえてたのか」
「絶対気に入られたわ、あんた」
「え?何?ドM?」
「ッ!」
私が真顔でそう言ったのが面白かったのか、クールな財前くんが吹き出した。めっちゃ笑ってますやん…でも何か可愛いな
「財前くん、可愛い」
「は?」
「いやー笑顔が可愛いなと思いまして」
「なんやねんそれ、男が可愛い言われても嬉しないわ」
プイッとそっぽを向く財前くん。うん、やっぱり可愛いわ
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