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10月31日の朝、珍しく早起きをしたなまえはいつもより膨らんでいる通学用鞄を持っていつもより早く学校に登校した。

そして、鞄を教室に置いたあと、綺麗にラッピングされている色とりどりの7つの小さな紙袋を胸に抱え体育館へ

そして体育館を覗けば、ちょうどバスケ部の朝練が終わっていた。なまえは一部のカラフルな集団に近づき持っていた紙袋をその集団に向かってぶちまける


「トリックオアトリート!野郎共!桃井ちゃんは天使!」

「なまえさん?」

「なまえっち!?」

「いってぇ!何だこれ?」

「なまえ!痛いのだよ!」

「何これ〜お菓子?」

「なまえ、これは何のつもりかな?」

「なまえちゃんの方が可愛くて天使だよー!」

「今日はハロウィンだよ!お菓子たくさんもらえる日だよ!私もお菓子作ってみたから皆にあげようと思ってさ、持ってきた!」


なまえはえっへんと胸を張って言う。皆はなまえに投げつけられたお菓子の入った紙袋を床から拾いあげる。袋の色はそれぞれの髪の毛の色と同じ色だった。


「これなまえっちの手作りなんすか!?」

「そうだよ、あ、ちょっと貸して」

「?はい?」

「そーれ、とってこーいッ!」

「ええええええ!?」


黄瀬のお菓子を渡された瞬間なまえは、思い切り振りかぶり遠くへと投げる。黄瀬はそれを反射的に追いかけ床に落ちる寸前の所でキャッチした


「何するんすか!せっかくのなまえっちの手作りお菓子を!」

「お菓子あげるからいたずらさせろ、的な?」

「それ何か趣旨変わってません?」

「よくとってきたな、よーしよし!」


黄瀬の頭をわしゃわしゃと背伸びして撫でるなまえ。黄瀬は撫でられたことに驚いたがすぐに嬉しそうになまえに飛びつき頬ずりをする


「俺、なまえっちが撫でてくれるなら何回でも取りに行くっすよ!」

「ちょ、やめろ!頬ずりされてほっぺの肉が上下してる醜い顔になってるううう」

「なまえ、大丈夫だ、元から醜い」

「青峰あとでフルボッコな」

「というか手作りのものを、そんなに乱暴に扱って大丈夫なのか?」

「んー大丈夫じゃないか?見た目あれでも食えりゃいいっしょ!それにマフィンだし!ちなみにかぼちゃのマフィンです!」

「なまえちんの手作り〜なまえちんのいいとこは料理が上手ってとこだけだね〜」

「むっくん!?もっといいとこたくさんあるよね!?照れてるだけだよねわかってる、うんうん」

「なまえちんうぜー」

「私はこの引っ付いてる黄瀬がうざいわ」

「なまえっち酷いっス!」

「黄瀬くん、なまえさんから離れて下さい」

「じゃあ黒子っちもくっつけばいいじゃないですか!」

「そうします」


なまえの背中にくっついてる黄瀬にそう言われ、黒子は前からなまえに抱きついた。なまえは特に気にしてない様子


「そうだ、なまえ。トリックオアトリート」

「ん?お菓子ならもうあげたよ?」

「それはなまえが勝手に渡してきたものだろう?俺はまだ言ってなかったからね」

「そうやって私からお菓子を巻き上げるのね!私今はもう何も持ってないよ」

「だったら、いたずらだな」

「やめて!私に乱暴する気でしょ!エロ同人みたいに、エロ同人みたいに!」


なまえは自分を抱きしめながら緑間の後ろに隠れる。ついでに黒子と黄瀬は引き剥がしておいた。


「なまえ、鬱陶しいのだよ」

「そこはもっとかっこよく守れよ」

「じゃあなまえ、菓子いらねーからいたずらさせろ」

「それもうハロウィンじゃねーよ、しかも何その手、いたずらって絶対胸揉むだけだろ、お前まじ本能のままに生きてるな」

「なまえちーん、もうお菓子ないのー?」

「教室にならあるよーってもう食べたの?」

「うん、美味しかった!俺ね、なまえちんの作るお菓子が1番好き〜」

「流石私の嫁、言うことが違うぜ」

「なまえちゃん、私もお菓子作ってきたんだけどもらってくれるかな?あとみんなの分もあるよ!」


桃井がそう言った途端皆の顔から一気に血の気が引いた。そんな皆に気づかず、桃井は鞄から手作りのお菓子を1人ずつ渡す


「あ、ありがとう!わ、わー!すっごく美味しそう」

「本当?今回のは結構頑張ったんだよ!テツくんも食べて!」

「あ、ありがとうございます。桃井さん」


お礼を言う黒子の顔は引きつっている。なまえは、あれ?かぼちゃのプリンってこんな緑色だっけ?もしや緑間の呪いか?という目で緑間を見つめていた。叩かれた


「ねえなまえちゃん!それ今食べてみてくれないかな?」

「え、あ、うん!わかった!」


皆の視線がなまえに集まる。なまえは恐る恐る、スプーンでプリンすくい、口元まで持ってくる。そして一気に口の中に放り込んだ


「お、おい!なまえ、無理すんな!さつきの料理は食えたもんじゃねぇよ!早く吐き出せ!」

「ちょっと!青峰くんうるさい!」

「なまえっち…大丈夫ッスか?」

「なまえちゃん、ど…どうかな?」

「こ、個性的というか、パンチの…ある…味だね…桃井ちゃん好きだ…」

「なまえー!!」


その言葉を最後になまえは力尽きたのであった。



ハッピーハロウィン!





(なまえが死んだ…)
(恐るべし桃井の料理…)
(うわーん!なまえちゃーん!)









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