Others ひらひらと地獄蝶が飛ぶ。 ≪≪各隊長に告ぐ。 これから隊首会を開く≫≫ ------------ 「よう集まってくれた」 山本総隊長が言う。 集まった10人の隊長。 藍染を始めとする3人が抜けてから、隊長は10人となった。 総隊長としては正常な護廷十三隊に戻したいところだろう。 「今日集まってもらったのは、他でもない。 新しい隊長がこの山本元柳斎重國と他2名の隊長の元、決定した」 「新隊長…」 ------------- 隊首会があった、夕方。 最後の総隊長の言葉はこう締め括られた。 『じゃが…あの娘は我儘でのぉ……ごほんッ まだその新隊長は、どこの隊の隊長になるか決めてないと言っておった。 決まり次第、そやつに挨拶に行かせる。以上、解散!』 それを聞いた十番隊隊長・日番谷冬獅郎。 もしやとは思った。 今空いているのは、三番隊、五番隊、九番隊だ。 ――"彼女"が選びそうなのは… ------------ "彼女"もその隊へ挨拶へ行こうとしていた。 自分が上に立つ隊。 ――山本総隊長の所へは行ったし!明日から二番隊とかに行けばいいよね!! 九番隊の隊舎に向かう。 そこには小さく、銀髪の、白い羽織を羽織った少年がいた。 「…」 「…」 「……」 「……」 「………」 「……え、もしかして…シロちゃん?」 「その呼び方で呼ぶなって言ってるだろ」 「キャー!!可愛いッ我が弟ながら、その羽織り似合ってるーッ!!可愛すぎて誰か解らなかったーッ!!! いっつも逢いに来てくれる時は普通の流しで、死覇装姿見せてくれないんだもーん!!!」 「うっせぇ!!そんなんだから見せたくないんだよッ!!!」 抱きついてくる姉。 「ちょ、離せ!!誰か見てたらどうするッ!!!!」 「いやーん。姉弟のハグだからいいじゃない〜」 「離せよッ姉貴!!!!」 そうなのだ。 今、日番谷に抱きついているのは、噂の新隊長。 日番谷菜舞だ。 「あ、ちょっと待っててね。私の副官になる子に挨拶してこなきゃ。 何が食べたい?軽く焼き肉食べに行く?」 「姉貴の軽くは当てにならねぇよ。早く行ってこいよ、檜佐木なら多分まだいるよ」 「そう?じゃ、すぐ帰って来るから、待っててね〜」 手を振りながら、菜舞が九番隊隊舎へと入っていく。 ――久し振りに見たけど、元気そうでよかった。 日番谷は最近忙しくて姉に逢いに行く暇がなかったのだ。 もうちょっと松本が仕事をしてくれれば…それは別の物語である。 ------------ ノック音が聞こえた。 まだ居残っていた檜佐木は不思議に思う。 「(誰か来るって聞いてたか?…まあいいか) どうぞ」 「お仕事中すいません」 入って来たのは女性だった。 …松本乱菊に負けないくらい胸を見せ、綺麗な銀色の髪を左だけオールバックにし、右目は隠している。 「初めまして。冥地菜舞です。 明日山本元柳斎重國総隊長より通達があると思いますが、九番隊の隊長を任じられることになりました」 「えぇ!?九番隊の隊長!!??」 「はい。よろしくお願いしますね。檜佐木修兵副隊長」 「あ、いえ。こちらこそよろしくお願いします」 手を握り合う。 「それでは、もう遅いのでこれで失礼します。御挨拶のみで申し訳ありません」 「いえいえ、態々ご挨拶ありがとうございます」 隊舎入口まで出て来て、見送ってくれる檜佐木。 菜舞は出た瞬間、瞬歩で姿を消した。 「……東仙隊長の後の隊長、か」 誰も檜佐木の声を聞いてくれる人はいなかった。 ------------- 「シロちゃーーんッ!!!!」 「近づくな、離れろ、その名で呼ぶな」 「そんな汚い言葉は使わないの!お姉ちゃん泣いちゃうわよ」 「…焼肉屋行くんじゃねぇのか」 「それじゃ、行こうか」 2010.9./2012.3.8. [←] [→] [back] [TOP]
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