08:日々色を変えてあたしは大人になってくね

「では五番隊三席と七番隊三席の手合わせを始める」

藍染副隊長の声で試合が始まるのを見る
何と言うか型通りだ、あまり実戦に出てないからだろうか
物足りなさを感じる、

「どうだ、」

愛川隊長に声を掛けられる

「型通りの手合わせだと思います」

「実戦向きではないか、」

「殺し合いが日常言う方が異端だと思いますよ、」

「オメーを七番隊に入れた訳はいつ何が起こるかわからねーからだ」

いつになく真剣な顔付きの愛川隊長を見る

「よろしいでしょうか、平子隊長」

「別に構わへん、五番隊もちょォと刺激があった方がええやろ」

竹刀を持つ

「惣右介ェ!」

何でしょう隊長?と不思議そうな顔をする

「五番隊七番隊の八席、七席、六席、五席、四席、三席の12人にこれから手合わせするから準備しとけと言うといてや」

「隊同士での集団戦術ですか?」

「そうや、しかも今回は特別に七番隊副隊長が相手やで」

途端にザワつくのが分かる
五番隊の三席がく不満げに口を開く

「しかし、相手は、」

「敵を見かけで判断するな言うてるやろ、まァそないな事しか言えへんのやから充分やわ」

「名前頼んだぞ、」

「もちろん」

竹刀を握り息を吸う

「切り掛る前に副隊長として教えを1つ授ける」

二番隊に入った当初に戦い方の術を授けてくれたある男の言葉を思い出す

「圧倒的に力の差がある敵を前にした時、その実力差を覆すには数に頼るのが1番よ、呼吸を合わせなさい」

霊圧をわざとあげれば並々ならぬ緊張感が漂い始める

「心体ともに気を練り最も充実した瞬間を送れることを祈るわ、」

道場が霊圧で音を立て始めるのが分かる、見守ってる周りの席官が膝を落とす

「そして一斉に切り掛かりなさい」

席官達が1歩を踏み出すのが見える、ただ速さはこちらの専売特許だ、

「遅い、」

容赦なく竹刀を振り落とすと、一斉に席官達が崩れ落ちる

「名前、」

愛川隊長がいつになく真剣な顔をする

「骨まで折るこたァないだろ……」

気絶してるし全員四番隊行きだな、と深いため息をつかれる

「殺す気やったんか?」

「胸尖を狙いに行きましたけど、加減はしたので」

「部下を脅す所かこっちが総隊長と卯ノ花さんに脅されそうや……」

あぁ違いねぇと愛川隊長が深いため息をついた





「ぶわっかもん!!」

絶賛隊首会だ、

「手合わせで席官12人を四番隊送りなんぞ前代未聞じゃ!!」

「へぇ、」

愛川隊長に足を踏まれる、痛い……

「いいじゃないの山爺、勢いのある副隊長が増えて」

「勢いがありすぎる気もするがな、」


長ったらしい説教がしばらく続く
享楽隊長と浮竹隊長のフォローのお陰で始末書沙汰で終わったが、余計な仕事が増えた

「浮かへん顔しとんのォ」

「そりゃ怒られた挙句に仕事増えたら誰だって落ち込みますよ」

「どの口が落ち込んでる言うとんねん」

呆れ顔で見られる

「"藍染"への当てつけかいな」

「それも半分ですが、やはり私にもそれなりに意地があったみたいですね、」

「二番隊とは比べなや、夜一が隊長の時点でそない男女差を感じひんかったかもしれへんけどあれが普通や」

そもそも霊術院を2年で卒業してるんやからええ顔せェへん奴もおるやろうし、と言われる

「身分だとか女性だとか役職だとかそんなくだらないことに何でそこまでこだわれるんですかね、」

「わからへん、」

しゃァから一緒にこれから見つけてったらええんちゃう?

と悪戯っぽく笑うこの人を見つめる
私は、この人のこの笑みが何となく見たかったのかもしれない