私はワタリから送られてきたデータに目を通していた。
ワタリはこのデータを女性捜査員から渡されたと言っていた。

データの内容は昨日私が調べて欲しいと頼んだ情報に加え、日本で死亡した犯罪者のプロフィール・罪状・死亡数とその割合・死因・死亡直前、直後の状況・死亡推定時刻・死亡場所等が、日付・時刻・場所・死因・罪状・年齢・性別等の項目に分け、うまく纏められている。
警察が手に入れられる情報は殆ど網羅されていると言っていいだろう。

さらに注目すべき点は、この情報を元に導きだした考察が述べられていると言うことだ。

・キラが殺人を犯すためには顔と名前が必要。上記の調査結果にもあるように、犠牲者の全てがメディアやインターネットを通じて、顔と名前を確認出来る。逆に、名前は確認出来るが顔は確認出来ない犯罪者は存命している。また、重い罪を犯し顔と名前が確認出来るにも関わらず存命している犯罪者は、氏名が間違って報道されていた。
・死因について。キラが現れてからの犯罪者の死因は全て心臓麻痺である。しかしキラが心臓麻痺でしか犯罪者を殺せない理由とはならない。今後心臓麻痺以外の死因で犯罪者が死亡した場合は徹底的な調査が求められる。
・キラは独善的で負けず嫌い。まるで子供のようである。犯罪者を平等に殺している点から、キラが学生という線は当たりかもしれない。犯罪者を殺すことで世界を正そうと考えるのは中学生前後から高校生前後までだろう。少なくとも社会に出て働いている人間とは考えにくい。
・キラウザい。

………最後のはただの悪口だが、一番上の考察はかなり有益だ。まさか、独自にここまで調べている捜査員がいるとは思わなかった。
この調査結果を見る限り、『キラによる殺人は顔と名前が必要』というのは確定でいいだろう。

さらに二つ目の考察。キラが心臓麻痺以外の方法で人を殺せる可能性は今のところ50%だ。確かに無視できる数値ではない。
仮にキラが心臓麻痺以外でも殺しを行えるとしたら、自分に近しい人間やキラとして殺すのは憚れる人間を殺すだろう。上手く捜査すればキラに辿り着けるかもしれない。
言っていることは最もだ。

三つ目の考察は、私の見解とも一致している。私がテレビで宣戦布告した時の反応からして、キラは幼稚で負けず嫌いな人間だ。
そして私もここに書かれていることと概ね同じ理由で、キラは学生だと思っている。

そして最後のキラウザい。………共感できる。

「ワタリ」

私はマイクを通して呼びかける。
ワタリはいつものように直ぐに返事を返した。

「このデータを提供してくれた捜査員の経歴を調べてくれ。それと、この捜査員には今後キラ事件について何か解ったことがあったら、その都度お前を通して私に報告するようにと伝えてくれ。ああ、それから私が頼んだ調べものはもう必要なくなったと、他の捜査員たちにも伝えておいてくれ」
「わかりました」

これでまた一歩キラに近づけたような気がする。

 
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