Attention please

敵わない、叶わない


私は、いつもお姉ちゃんと一緒だった。
双子で、姿が瓜二つだから親はお揃いの物を着せたがった。
みんな、私とお姉ちゃん、二人で一人のように扱うから、やっぱり、何でも一緒だった。
ほとんどの人が私とお姉ちゃんを間違える。そんな感じだった。

変わったのは、中学校に入ってから。
小学校と違いクラスが一つじゃなかったので、もちろんクラスは別に。
それから、私とお姉ちゃんとは大きく変わりだした。

明るくて皆に頼られるお姉ちゃんと、口下手で不器用な私。

どちらがいいかなんて、一目瞭然で。

親はお姉ちゃんの活躍ばかり話すようになって、皆はお姉ちゃんの周りに集まるようになった。

でも…幼馴染みの征十郎だけは、私とお姉ちゃんへの態度を何も変えなかった。

そりゃ、やっぱり思春期だし、上手くいかないこともあったけど、私はそれだけで十分幸せだった、のに。

「……え?京都?」

「うん。征十郎が向こうに行くんだけど、心配だからついてくことにしたんだ。」

「征十郎が、京都に…?」

「あれ?聞いてない?」

「うん…」

「おっかしいなぁ〜。二ヶ月前にはもう決まってたはずなんだけど。」

あぁ…変わってない、なんてなかったんだ。
私とお姉ちゃん。
連れていくならどちから選べたはず。
そして征十郎は、お姉ちゃんを選んだ。

ただ、それだけのこと。

「征十郎、」

「名前」

「京都行くんだってね。」

「あぁ」

「大丈夫…?」

「友達(姉)の名字もついてきてくれる。
お前が心配することじゃないだろう?」

「………………そ、だね。」

私になんか目もくれず本を読む征十郎。
涙で視界がぼやける。

結局、皆お姉ちゃんしか見てないんだ。

お姉ちゃんと征十郎の出発の日。
新幹線で行く二人を見送る。

「名前、高校では友達作るんだよ?」

………お姉ちゃん、私にだって友達はいるよ。

「うん、大丈夫。頑張るよ。」

「じゃあね。」

そして二人は、京都へ行った。

「それにしても友達(姉)の名字ちゃん凄いですね、突然だったのに推薦取っちゃって。」

「そんなことないわよ。
征十郎君だって、首席合格なんでしょ?」

帰り道、ただただ下を向いて歩く。
なんで、双子なのにこんなに違ってしまったんだろうか。
私が頭悪いから?
私が明るくないから?
私が口下手だから?
私が不器用だから?

「名前、どうしたの?」

「え…あ、なんでもないよ。」

「名前ちゃんは誠凛高校だっけ?」

「はい…」

私は、お姉ちゃんの引き立て役なのかな?

どうして、どうして…お姉ちゃんは私の欲しいものばかり持ってるの?

分かってる。
こうやってお姉ちゃんのせいにしてるのがダメなんだ。

私が、お姉ちゃんと比べてしまう限り、私はお姉ちゃんを越えられないし、叶えたい夢だって取られちゃうんだ。


でもね、ムリなんだ。
私は比べることしか出来ないんだよ。




(だって皆の目が)
(無意識に私とお姉ちゃんを比べてるんだから。)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -