Attention please

貴方に愛されるために



今日はクリスマス

サンタがみんなに幸せを、喜びを、希望を、愛を与えにくる日。

なのに私は、いつもと同じように同じクラスの不良グループに暴行、所謂"いじめ"を受けていた。

ダサイ、そんな私は不良グループに目をつけられかれこれ8ヶ月
私の境遇が変わることはない。
暇だったからと図書室の整理なんかにくるんじゃなかったと後悔しながら痛みを受け入れる。

クラスの人は誰も助けてくれないまぁ、私だって同じような状況だったら助けないだろうから文句は言わないが。

何をしたって、何を言ったって変わらないなら抵抗はしない。
諦めるしかない。


「気持ちわりぃんだよ!!」

どがっ

顔を強く殴られ、身体が倒れる。

「抵抗しねぇし…Mか?」

一人の男が言うとその場にいる男女皆がギャハハと笑う。

「いいサンドバッグだな!!」

お腹を蹴られると身体が壁にぶつかり肺が潰れるような感覚をうける。

「かはっ…」

呼吸が上手く出来ず、何回か咳を繰り返す。

早く飽きないかなと思っていると視界の端に男の姿が映る。

「(あれ…赤司先輩だ…)」

赤い髪をしている人など3年の赤司先輩ぐらいで一目で分かった。

赤司先輩とはお昼休みのとき、何か話すわけではないが人の来ることがない裏庭で時間だけを共にしていた。

私は一緒に食べる人がいない上、教室で食べると不良グループに絡まれるので裏庭で食べていた。
赤司先輩は必ず昼休みが30分くらいしてから本を読みに現れる。
私はぽーと過ごすので本当に話すことは何もない。


赤司先輩は何をするでもなくただ私が暴行を受けるのを見ている。

赤司先輩は冷徹で残忍な人だと聞く。彼にとっては私などこの不良達よりくだらない存在だろう。だから何もしない。
別に助けて欲しいわけではないが、胸が苦しくなる。

「ちっ…これならどうだ?」

不良のリーダーらしき男が胸元からなにかを取り出す。

ナイフだ。

ヒュッと喉が鳴る。
恐い。
ただそう感じた。

「んじゃ、試しに腕でもやってみるか?」

「おお!いーじゃん。」

男がしゃがみ腕を振り上げる。

グサリ

「っあ゙あ゙゙!!!」

腕が熱い。痛い。
涙が込み上げる。

嫌だ、辛い、苦しい。
なんで?なんでこんな目に遭わなきゃいけないの?

受け入れきれなくなった理不尽な現実から逃れようと身体を引きずるように立つ。

「おい!!逃げてんじゃねぇ!」

殺されるかもしれないのに逃げない人がどこにいるだろうか。
走ろうとするが、何度も殴られ蹴られた身体。簡単に捕まってしまい、壁に押し付けられる。

「っ…」

また、赤司先輩が視界に映る。
助けてくれないかもしれない。見捨てられるかもしれない。
でも…

「助けてっ…!」

小さく、けれど確かに叫んだ言葉。

男はまた私に向かってナイフをふりおろす。
ぎゅっと目を瞑る。
が、来るはずの衝撃が来ない。

そっと目を開けると…

私の前に立ちはだかりナイフをもつ男の腕を掴む赤司先輩。

「っんだよテメェ!」

邪魔する赤司先輩にイラついたのか怒鳴り付けるように言う。

「傷害罪って言葉知ってるかい?」

それに対して赤司先輩は落ち着いた雰囲気で話す。

「はぁ!?んなこと知ってるよ!」

「じゃあ、君たちが今まで彼女にしてきたことがそれに値するっていうのも知ってるかい?」

「っ…!」

「これを彼女が警察に言えば君たちは少年院行きだけど?」

「!………行くぞ!!」

男が声をかけると一斉に走り出す。

「まぁ、逃げたところで訴えられたら捕まるんだけどね。
それより大丈夫かい?」

「ぇ…あ、はい。ありがとうございます。赤司先輩。」

赤司先輩に頭を下げると赤司先輩は優しく撫でてくれる。

「いや。それより俺の名前を知ってたんだな。」

「あ…はい。
でも助けてくれるとは思ってませんでした。」

「最初は見捨てようと思ってたんだけど…名字さん、助けてって言ってただろ?」

「!気づいたんですか…」

「まあね。」

「助けるつもりあったんですか?」

「助けを求める勇気は大事なものだからね。」

だから君が自分から言うまで助けなかったんだよ。赤司先輩はそう言って微笑んだ。

「っ…あ、」

ぽたりと涙が溢れる。

助けて欲しかった。辛いのを気づいて欲しかった。
だけど誰も分かってくれなくて、気づいてくれなくて、心を閉ざしてしまったんだ。

「…あり、がとう…ございますっ」

泣きながらそう言うと赤司先輩は優しく笑い抱き締めてくれた。

「俺は気づいてあげる。全部受け止めるよ。」

「っふ…ひっく…あ、かしせんぱい…」

赤司先輩は私の頭の後ろに手を回し優しくくちづけた。

「愛してるよ、名前」

「っ…赤司、先輩…」

私が感じた胸の苦しみ。それは赤司先輩に助けて欲しかったから、赤司先輩が好きだったから。

「っ、私も…好きです…」

私が理不尽に

嫌われたのも

いじめられたのも

蔑まれたのも





(ほらサンタさんが、)
(私に幸せを、喜びを、希望を、愛を)
(届けに来てくれた。)



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -