そうして始まる僕らのカタチ 2 しおりを挟むしおりから読む目次へ 彼女の過剰な反応に、喜び半分。不満半分。 「なーるーせー」 「あ?」 いきなり後ろからガシッと肩を掴まれた。つーか、俺はまだ着替えてる途中で上半身裸なんだけど。 俺のそんな思いもつゆ知らず、肩を掴んだ手の主はぐいっとのしかかってきた。俺は顔をしかめて、それを振り払う。 「間宮(まみや)、うぜー」 そう言って、背後に立っていた部活仲間の間宮哲(てつ)を片手でシッシッと追い払った。練習が終わってそこそこ時間が経っているにもかかわらず、ヤツはまだ練習着姿のままでいる。 「お前、さっさと着替えろよな。藤原(ふじわら)にどやされんぞ」 野球部唯一のマネジの顔を思い浮かべて俺が言うと、間宮は薄い唇を尖らせた。 「何だよー。何かイライラしてるみたいだから、和ませてやろうと思ったのにさー」 いや、野郎に引っつかれても和まないから。 俺は目線だけで突っ込んで、さっさとシャツを着込む。だけどすぐ思い直して、ヤツのほうに顔を向けた。 「イライラ、してたか?」 その問いに間宮は一度まばたきしてから、大きく頷いた。 「あぁ。いつもより口数少ないし、時々眉間にシワ寄せてるし」 成瀬にしちゃ、珍しいと思ってさー。 間宮は呑気な口調で言うと、モゾモゾと上着を脱ぎ始めた。俺はその科白に眉をひそめて、頭を掻く。 (そんなにカオに出てたのか……) 部活とは関係ないことだから気持ちを切り換えたつもりでいたけど、そうではなかったらしい。何だか無性に申し訳なくなって、俺は謝罪を口にする。 「何か悪いな。気ィ遣わせちまって……」 「いんや別に。ホント珍しいなと思っただけだから。そんなんで謝ってどうすんの? タカなんか、常にイライラしっぱなしだぜー?」 へらへらと嘯く間宮。しかし、その顔はすぐに歪められた。後頭部をべしっとはたかれたからだ。 |