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- ナノ -

「焔人が出たぞー!」

ーーカンカンカンカン!!!!

2日目の研修こと修行を始めようと詰所から出た時だった。一体の焔人が勢いよく屋根の上を走り抜けていった。

「若!河原のせっちゃんと鰻屋の賢だ!どっちも店を離れて暴走してやがる!」

「朝っぱらからいきなり二人もか…」

「新門大隊長、私一人いきましょうか?第七は我々と鎮魂の仕方が違うと聞いたので、大隊長が来るまで焔人になってしまった方を抑えておきます」

それぞれ別の場所で暴走する焔人。そこら中から悲鳴と爆発音が聞こえはじめる。
第七の他の隊員も大勢控えてはいるが、あのスピードに瞬時に追いつける隊員はナナしかいない。
ーーゆるりと考えている暇はない。

ナナは昨日来た第一の人間だが、新門も紺炉も信頼していた。

「…わかった。鎮魂は俺がやる。それまで任せていいか」

「はい。なるべく傷つけないようにします」

ーー昨日、幼い頃に家もろとも家族を燃やされと新門に打ち明けた後、酔っているのにどこか危険な空気を醸し出していたナナ。

新門はその空気からナナの危うさを感じ、何か危険なことに首を突っ込んでいるのではないかと推測していた。結局その真偽はナナが寝てしまったせいで聞けなかったが。

ナナが危険な存在というわけではない。

いつもは殆ど変化のない表情の下で、幼少期の事件が原因で炎や自分の能力、他者を鎮魂することに対する「恐怖」を押し殺し、職務に当たっている。故にナナを見たほとんどの人間が「しっかりしている」とか「実力派消防官」と思っていることだろう。それに、優しさだって兼ね揃えているのだから。

確かにその通り。
ーーだが、新門は「ああ見えて不安定な存在」だと思っていた。

「頼んだ」

新門の言葉に頷き、ナナは一気に炎の翼を広げる。舞い上がる薄茶色の髪、露わになる銀色の瞳ーー。
そしてナナは飛び立った。






早々焔人
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