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根性試しのポッキーゲーム1


「なあ!根性試しのポッキーゲームやろ!!!」

今日は期末テスト三日目。
当然そういうことをやる為の日と言っても過言ではない " ポッキーの日 " は何週間か前に終わっている ーーー とか、そんな理屈は関係ない。

今、ポッキーの箱を持って、男子バレー部の部室に飛び込んできた部員こと、二年の宮侑には。

「いやまずポッキーゲームってさ、男女でやるもんじゃねぇの?」

「フッフ…緩いで角名」

どこで手に入れたのかはわからないが、種類の違うポッキーの箱を何個か持った侑が、部室の出入り口前で角名や他の部員に向かってドヤ顔を決めていると、その後ろから入ってきたはなこが『邪魔』と侑の脇腹をくすぐり、侑を強制的に退かした。

( 直後、180センチ越えの男子のヒャンッという、誰得でもないセクシーボイスが部室に響いた。 )

『あ、ポッキーはなこもちょうだい。イチゴかホワイト』

部室の端っこに倒れこんだ侑が持っているポッキーの箱を発見したはなこは、そう言って侑に歩み寄ろうとした時、侑はニヤリと口角を上げた。

「ええで。けど、タダではやらん」

はなこと一緒に入ってきた治はその侑の表情から、どうせ馬鹿なこと企んどるなと読んだ。

『あー、ポッキーゲームしたいん?もしかして。なんか教室で流行っとったし、ツム流行りモン好きやもんな』

「中身五歳やからな」

はなこの横で、はなこと同じ真顔でサラッと毒を吐く治。

「うっさい黙れクソサム!お前だけポッキーやらへんぞ!」

「……で?」

ポッキーは欲しい治は、仕方なくこれ以上言うことを諦め、侑に続きを促した。

「ポッキーゲームでいっちゃんギリギリまで行けたヤツに丸々一箱プレゼントや!」

まあ、そう言うだろうなと思っていた角名は何も言わずにスマホを見ているし、予測通りだった治とはなこ、教室で見ていた銀島もいたって普通の反応を示したので、侑は「その余裕もどこまで続くかなぁ?勝負や」とポッキーの箱を開けた。

「参加するヤツ誰?言っとくけど根性試しやから、中途半端要らんで」

「うちのクラスでやった時、侑が誰にも負けたないとか言い出して、俺侑とキスさせられたからな」

「マジ?やっば」

袋からポッキーを取り出す侑の横で、今日あった本当にあったヤバすぎるエピソードを話す銀島に、角名が爆笑する。

そんな三人を遠い目で見るのが治とはなこだった。

「負けず嫌いもそこまでいくと狂気の沙汰やな」

『これが自分の幼馴染かと思うと辛かった』

ポッキーを持った侑はまず、治の前に現れた。はなこの隣でパイプ椅子に向かって反対向きに座っていた治が無言で立ち上がると、それを合図に侑はポッキーを口に咥えた。

ーー 結果、双子は唇が触れるほんの数ミリ手前で止まった。

「サムとは絶対無理!!お前の顔面ドアップでどついたろか思た!」

「俺も無理!!この距離ですら吐き気で死ぬかと思った!」

「ほな次、俺と治やろか!はなこは侑やな!」

『待って、なんではなこも?一応女子なんですけど?』

「バレー部のマネはやらなあかんで!」

双子のキス直前まで攻めたポッキーゲームを見せつけられた銀島がノリ始める。このヤバ過ぎる悪ふざけに、あと1時間テストがある三年がいないのが幸い。

「よっしゃやろか、はなこ」

宮侑は、その目にターゲットをロックオンした。

『げ・・・』