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オリエンテーション合宿5


結局、バスで騒いだのは男子四人だけで、はなこは合宿の宿泊施設に着くまで寝ていた。

着くまでの間、双子は、入学した時から仲のいいはなこと宮兄弟との関係や、本当に付き合っていないのかなど、今まで散々聞かれてきた質問をしつこく聞かれていたが、当然ぐっすり眠っていたはなこは何一つ覚えていない。

「おはよーさん!着いたではなこ!」

はなこが目を覚ますと隣にいたはずの侑と、治がいなかった。代わりに角名と銀島が立っている。
窓から外を見ると、ぞくぞくと生徒達がバスから降りているのが見えた。

『…はよ』

「アイツらは先降りたで!またなんか争いながら」

「すげー爆睡してたね」

はなこの前の席にもたれかかりながらそう言った角名に、『なんかめっちゃ寝れた』と答えながら、はなこはリュックを持って立ち上がった。

『倫太郎に騙されたせいやな』

「根に持っとる!」

寝起き顔で角名を睨みながら見上げるはなこを角名は「騙されるヤツが悪い」と悪戯っ子のような顔で見下ろす。

『今度は騙されへんし』

銀島を先頭に三人は流れでバスを降り始めた。

「大丈夫、はなこは騙されるよ」

『大丈夫ちゃうわ』

「また騙す気マンマンか」

「あ、それよりはなこが寝てるあいだにさ、侑が顔に落書きしてたけど、大丈夫?」

ちらっと後ろを振り返って、自分の頬を人差し指でトントンと触る角名に『えっ…ホンマに!?アイツ後で殺す』と、落書きされたかもしれない頬を触って確かめるはなこだが……

「嘘だけど」と言ってニヤリ笑う角名に、またもや騙される。

『…………』

「騙されんの早過ぎひん?」

ーー 入学から一ヶ月と少し。
角名は、あの癖の強い双子をどうにかできることや、マネージャーとしての優秀さなどからはなこは隙がない人間だと思っていたが、今日、ほんの少しナメる隙というか、弱点を見つけたのだった。




その夕方。

『倫太郎!トランプで勝負!』

「…いーよ」

おそらくはなこが勝つための仕掛けを作ってきたであろうトランプを握りしめ、自信満々の顔で立ちはだかるはなこに、角名は内心子供かと突っ込みながら笑う。侑か治か、あるいはその両方が手を貸したに違いない。

ーー その五分後

「ほら、好きな方とりな」

勝てる筈のゲームで、追い込みに追い込まれているはなこを更に追い込む角名は、手元に残った二枚のカードを突き出した。はなこのカードも残りも二枚だ。

『………(マークが…)』

双子が発案した、ジョーカーにシャーペンであとを付けるイカサマ。しかし、この勝負を決める終盤でそのマークが見えなくなってしまった。

ゲーム中に消えてしまったのか、偶然角名が隠しているのかはわからないが、どっちのカードがジョーカーなのかが全くわからない。

しかし、このまま穴があくくらいカードを見ていてもしょうがない。はなこは自分の勘を信じて『…これや!』とカードを引きぬいた。

ーー が、はなこは見事にジョーカーを引いた。

「ザマァ〜」

『ぐぬぬ………』

悔しそうに自分の手元のカードを見つめてから、角名を見上げれば、「イカサマしたらダメじゃん」と悪戯な笑みを浮かべている。

「まあ俺もしてたけどね」

『な!?』

ーー と、返り討ちに遭った上にまた騙されるのであった。




余談

侑「はなこイカサマどやった?」

『バレとった上に負けた。しかも倫太郎もイカサマしとってんで、ズルイわ』

角「イカサマしますよって顔してりゃーするわな」

治「まあ、はなこはトランプ何やらしても弱いからな」

侑「せやな、はなこにもできる簡単なイカサマ教えたっても負けるからな。センスがないわセンスが」

『倫太郎が強いって話にならんのはなんで?』

角「はなこより強くてゴメンな」

『……』右拳を構える

銀「静まれはなこ!!」その手を止める