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オリエンテーション合宿3


治ははなこを、はなこは角名の腕を引いて三人仲良く(?)二組のバスに乗り込み、一番後ろの席を目指す。先頭の治とはなこの後ろの角名はとにかく背が高いので、歩きながら荷物置きの奥も見渡せていた。

「きたできたでー!俺がきたでー!!」

最後部座席に着いたその時だった。ダダンッ、とバスに走り込んで乗ってきた侑が大声で現れた。その後から銀島も乗り込んでくる。彼は侑がこのバスに乗るための口実に巻き込まれた被害者だ。

「うわ」

「マジできた」

治は心底嫌です、帰って下さいと言わんばかりの顔でドン引きし、角名は苦笑いしている。
そんな二人とは違い、無視を決め込むことにしたはなこは『サム、イヤホンもってきとる?』と、全く関係ない話題に切り替えた。

「はなこの侑に対する無慈悲笑うわ」

『ツムは付け上がらしたアカンねんで』

侑の登場で二組のバス内は、男女関係なく盛り上がっている。女子は「侑くんや!」「侑くん一緒トランプやろーやあ」などと、歓喜している女子がそのノリで侑に話しかけ始めた。

いつもなら「この喧し豚が」と、思っていることを表情に出す侑だが、今はこのバスに乗るため、「お邪魔さしてなあ」とか「バレー部で話あるから、ゴメンなあ」などと言って愛想を振りまいている。スカートが短過ぎる学級委員長にまでだ。…まあ、思っていることには変わりないのだが。

「あ、角名、はなこにもアレしようや」

「あー、いーよ」

一番後ろの席に向かって一番左端から治、はなこ、真ん中に角名が、バスに乗り込んだ時のままの順で座っている。治は当然のように、そして角名も気を使う事なくはなこを挟んで座っていた。

『アレ?ってなに?』

角名は「ガム食う?」と言いながらリュックからガムを取り出すと、はなこに見せた。この時、治がはなこの背後でニヤニヤ笑っていることははなこは知らない。

角名が持つガムをジッと見つめながら、若干警戒するはなこがガムを取ってくれるよう、角名は「はなこにはこれから世話になるからさ」などと、思ってはいるが普段絶対に口に出さないような台詞を言った。

『り、倫太郎が優しいねんけど……』

一枚だけ飛び出たガムと、それを持つ角名を交互に見ながらはなこは感動している。

ーー 七志はなこは、双子が仕掛けるイタズラとか嘘に対する耐性は他の誰よりも持っているが、それ以外の人間に対する耐性や疑う心はあまり持っていない。

「俺基本優しくね」

『…いや、ツムみたいに口にも顔にも出さへんけど、腹黒さはツムとよう似とる思う』

「(お見通しかよ)」

というのは口に出さずに、ガムをもう一度はなこの前に突き出した角名。

はなこは ーー ??