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入学1-双子


宮兄弟 ーー
双子の名前が有名になってくる前から、俺は二人を知っとった。勿論、今や二人を語る上で絶対に避けては通られへん女の子、はなこのことも。




小学校の時、双子のと俺の入っとるクラブは別やったけど、地区は一緒でよう会いよったし対戦したこともある。
双子に会うたびはなこも絶対一緒におって、双子とはなこはいっつも一緒の3人組いうイメージやった。

そのうち俺もはなこと話すようになって、
双子との関係について聞いたら、「幼馴染ではないけど、実質幼馴染みたいなもん!」とか「俺らの専属マネ!」とか双子が言いよった。勿論俺はすかさずお前らに聞いてへんねんて突っ込んだけど、はなこもはなこで否定せんかったから、前者についてはそうなんやと思った。実際、あの三人見て幼馴染や言われてもなんの違和感も疑問も持たんしな。
後者についてはあいつらが勝手に決めた事や。

三人組に対して最初に抱いた印象は " めちゃくちゃ仲ええ友達 " やった。

最初は「二人についていくはなこ」って感じやったけど、年齢と学年が上がるに連れ、 今じゃ双子ははなこに面倒を見られ、引っ張られつつも「はなこを取り合う双子」の図が出来上がってきた。




三人が稲高に入学してきた時、
最初に驚いたんは、侑が金髪に、治が銀髪に髪染めてきたことやった。たしかにウチはそういうんOKで、なんやったら双子の見分けもつけやすなるんやけど、いきなり金とか銀に染めるか?普通。茶髪とかからスタートせん?…普通。

「侑お前…染めたんか!治も!」

「アランくん!おはようさん!今日から後輩やでー!似合っとるやろ!?イメチェンしてん!」

自分の髪を見てくれと言わんばかりに前髪やらなんやらを触る侑の横ではなこが、ちょっと褒めて欲しそうな顔で『アランくん、はなこが染めたんやで』って言うてくるのも当たり前になってきた。

年下の双子とはなこが俺にとっての弟とか妹なら、はなこにとって俺は兄貴みたいに見えるんやろか? とか思いつつ「すごいな、さすがやな!」って褒めたったら、可愛らしい顔で笑うもんやから俺もちょっと照れるし。

「ってお前ら!髪染めるんくらい店行くか自分でやれや!なんでもはなこにやらすな!」

しかもよう考えたら二人分染めたってことやろ?

「フッフ…甘いでアランくん!ハナは小学校ン時から俺らの専属マネージャーやからな!自分で買ってきたやつを、ハナにやってもーたんや!」

「あと自分でやったことないしな」

「当たり前のようにドヤるな!治も、なんで「自分でできひんことは はなこにやってもらお」って発想になんねん……お前らほんまはなこになんかお返ししたれよ…」

はなこの横で、侑はハイテンション、治は眠そうな顔でそれぞれ自己主張を述べる。

『サムはお菓子買ってくれた。ツムには最初から期待してへん』

呆れた顔で侑を見るはなこと治。三人で揉めたり意見が対立するときは、だいたい侑vs はなこと治いう感じになる。まあ、だれが聞いてもそうなんのは明白や。

「なっ…期待してへんてなんやねん!これから返すつもりやったし!!」

「絶対嘘やん」

「嘘やな」

『嘘や』

返す事すら考えてなかったであろう侑に、はなこと治は勿論、俺も呆れる。多分バレンタインのチョコ一回も返した事ないタイプやなと思ったら、はなこが俺の考えとったことを口にする。

『だって、バレンタインで毎年めっちゃチョコもろてんのに返したこと一回もないもん』

「そら、返しきれる量やないからな〜」

開き直ってヘラヘラ笑っとった侑やったけど、急に表情を変えて「って、お前にはちゃんと返しとるやんけ!」てはなこに叫んだ。

それはずっと三人見てきた俺も初耳や。ちょっと安心したわ。せやけど、はなこにだけは返すくせに好きちゃうわ付き合うてへんわで、そこだけはホンマに理解できん。

「オカンに言われてようやく、な」

「だーまーれクソサム。お前はいっつもはなこと引っ付き過ぎやねん。ひっつき虫か」

「は?くっつき虫はお前やろが。お前はくっつくいうよりベッタベタいう感じで、引くで」

「あ?やるんかえ」

「かかってこいや」

『なんの喧嘩なん。取り敢えず学校入ろうや。入学式の返事の声大きかった方が勝ちってことで』

さすがははなこ。高校入学してきた頃には我も個も強い双子の扱いをマスターしとった。

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