×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


聞いて11(一年生編)


.

困ったような、微妙な顔やったなぁ。教卓の前で俺が声かけたとき。

「はなこちゃん、購買行かへん?オレ腹減ってもてや〜」

あんくらい言っとけば少なくともクラスの喧しブタ共は俺の前ではなこちゃんに余計なことせん。あとは俺が元気つけたらオッケーやろ。……て思てたけど、はなこちゃんはなんとなく元気ないまま。そう簡単ちゃうらしい。
そういやオカンが「女の子は男の子と違って難しい」とか言いよったアレか。まぁ確かに女子の陰湿なとことかねちっこいとこ、やたら病んだり泣いたりするとことか見たら分からんでもない。普通の奴のソレはどうでもいいとして

はなこちゃんは別モンや。
これが"贔屓"いうんやろな。今まで散々聞かれて断り散らしてきたラインもはなこちゃんに教えて言われたらソッコー教えられる。

『ええねんけど、迷惑やない?』

やのに、なんやその自信なさげな困った顔は。俺も困ってまうわ。だいたい迷惑なわけないやろ。はなこちゃんやで?もっと元気つけた方がよかった?いや、あんま言うのも変よな…。

……いや、待て。
よう考えたら俺ら、小学校ン時のライバルや言うても再会してまともに話し始めたん昨日。つまりお互いのことなんも知らんのか。
なら余計決まりやん。

「迷惑なわけあるかい。行くで。この時間エエもん揃とんねん。どーせ食い意地張った治がおるに決まっとるわ」

『わかるん?』

「わかるわかる」






「おばちゃーん!肉まん2個ーォ!」

「…うわ」

購買のカウンターぶっ壊す勢いで5歩手前くらいから叫んだ俺。得意のジャンプでカウンター前に着地したら、やーっぱおった。ごっつ引いた顔で見てくる俺の片割れ。お前の持っとる大盛焼きそばと生姜焼き入ったパンパンの袋の方がドン引きやからな。食えるんやったらなんでもええにしても相性悪過ぎやろ。めっちゃ豚豚しとーやんけ。

「…言うとくけどやらんからな。お前はその肉まん2つ食うとけ」

「いらんわ。お前と一緒にすんな。俺が食うんは一個じゃ」

二つあるやんて顔の治。アホかもう一個ははなこちゃんのじゃ。俺は勝ち誇ったドヤ顔でもう一個の肉まんをはなこちゃんに差し出す。
『へ…?』ってビックリしとる。昔こんな動物みたいな子やっけ?やっぱ会ってへん間に変わったんやろな。ああ、なんか後ろから治の無言でドス黒いオーラが伝わってくるけど無視無視。

俺は「入部祝い」言うてはなこちゃんに肉まんを渡す。その瞬間、購買におった女子がわーきゃー騒ぎだした。ほんまいちいち喧しいやっちゃで。

『…ありがとう』

「美味いやろ?」

『うんっ』

良かった良かった。元気になってくれて。

「お前が作ったんとちゃうやんけ」

「喧しいわ!お前はよ教室帰れや!」

「言われんでも帰るわ。…ん」

治は持っとる袋ン中からタラコのオニギリを出してはなこに渡す。なんでお前もやねん。はなこちゃんビックリしてもとるやんけ。

「入部祝い。これからずっと世話んなるわけやからな」

『あ…ありがとう?。私も今度なんか持ってくる!』

負けず嫌いが。しかもはなこちゃんがタラコ大好きやねんて言うてからのドヤ顔。ホンマこいつ腹立つわ。




.