そして3年後
?ーー3年後。
「ーー男子バレーボール部、××旗優勝、××選抜大会優勝、IH優勝、××国体優勝。続いて居合道部。七志はなこ、×××大会優勝ならびに?××大会最優秀賞。続いて……」
高校2年の二学期が始まった。
全校生徒が集まる体育館で夏休み中に入賞した部の発表を聞きながら、スポーツクラスの列の一番後ろで話す男女がいた。
「聖臣聞いた?」
肩より上で切り揃えられたサラサラの黒髪に白い肌、綺麗な焦げ茶色の瞳をもつ女子生徒の名は七志はなこ。
生徒が学院内の美人について話す時、必ず語られる女子の一人でもある。
「なにを」
男子生徒の方は佐久早聖臣だ。
背の高さと部活動での活躍は学院トップ。周囲に近寄り難いと誤解させている。
ちなみに額にある二つの黒子とテンパーマとも見てとれる癖毛が女子の間ではセクシーとか色っぽいなどと評判らしい。
「元也また告られたって」
二人は全校生徒の前で自分たちの名前が呼ばれることに慣れているのか、気にも留めずに会話を続けた。
「…知らねェ」
「ほんと元也モテるよね」
佐久早は間違い無く学院一の有名人のはずだが、彼に話しかける人はあまりいない。特に中等部の頃から彼を知っている者であれば尚更。
それは佐久早が周囲に近寄り難いと誤解させているのと、本当に近寄り難いのと、佐久早自身が大勢の輪に入ることを拒否しているからだった。
「どこがいんだよ」
「元也に失礼。元也かわいいじゃん」
今話しているはなこは佐久早の数少ない友達の一人だ。というか女子だけで考えるならはなこは唯一の女友達と言っても過言ではないかもしれない。
「かわいいってなんだよ」
「かわいい系男子」
「意味不明」
「聖臣は彼女つくらないの?モテるじゃん」
「めんどくさいからいらねぇ」
「めんどくさいってなにが?」
「毎日ラインしろとか土日はデートしろとか言われたらうざい」
「そもそも土日部活だしね」
「うん」
「元也のタイプってどんなんだとおもう?」
「知らねーよアイツに聞け」
「私のタイプ聞く?」
「聞かねぇ」
中学の頃、周りが引くレベルで仲の悪かった二人は今、何故か気の合う友達になっていた。
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