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はじめまして、竜ヶ峰帝人
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Re:こんばんははなこ先輩ー!

報告です。
ダラーズの創始者、竜ヶ峰帝人先輩が俺達ブルースクウェアのリーダーになりました。帝人先輩は広く浅い海を深くするのに絶対必要な人です。
それで明日、自己紹介も兼ねて俺と帝人先輩、はなこさんの三人で会いませんか?

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はなこは廃棄された倉庫に入った。
それが昨夜、黒沼から送られてきたメールへの答えだ。

「あ、来ましたよ帝人先輩」と、先に気づいた黒沼は笑顔を向けながら小走りではなこの方へ。何故か黒沼は手に包帯を巻いていて、血が少し滲んでいる。

『あれ…手、怪我したの?』

「ああ……まあそんな感じです。
____________この人が竜ヶ峰帝人先輩です。話したとおりブルースクウェアの新しいリーダーで、ダラーズの創始者です」

「えっ青葉君、その事まで話したの?」

オロオロしている竜ヶ峰帝人。
はなこはその少年に見覚えがあった。実際に会ったことはないが、自称素敵で無敵な情報屋のPC画面で見たことがある。
それに付け加えてエアコンみたいな名前。間違いない、彼がいつも楽しそうに話していた少年だ。

「すいません…。でも、その方がフェアだと思ったので。帝人先輩にはこれから、はなこさんの正体を教えますよ。__________いいですよね?はなこ先輩」

大人しく黒沼の横に立っているはなこは『うん、いいよ』と答える。一方竜ヶ峰は何のことだかサッパリといった様子で「正体…?」と心配そうに呟いた。

「さっきはなこ先輩の名前はよしだはなこだって言いましたけど、実は苗字が違って…

本当の苗字は”目出井”っていうんです。あ、来良大学に通ってるとか、その他のプロフィールは全部本当ですよ!」

「め、目出井……?」

…聞き覚えがないわけじゃない。
けれど、現実味がなかった。
竜ヶ峰の目に映るはなこは、どう見ても"その苗字"と一致する容姿ではない。
稀に見る整った顔と、それを引き立てる艶のある黒髪と白い陶器肌。少し見惚れてしまったのも事実。

とにかく信じられないの一言に尽きるのだ。

「苗字に関しては先輩の想像通りですよ。はなこ先輩は目出井組の組長の娘さんなんです」

「むっ…むむむすめさん!?しかも組長さんのって…。え?っていうかなんでそんな人がブルースクウェアに?青葉くん知り合いだったの?」

衝撃の事実に竜ヶ峰は若干パニックに陥っている。それもそのはず。互いの目的の為に利用し合う契約を交わしたものの、黒沼がヤクザに関わっていると判明、そして竜ヶ峰自身もこれから関わることを示しているのだから。

『そんなに慌てないで竜…りゅうが……りゅうが…み…りゅうがみなくん?』

「あ、えと…竜ヶ峰、です。あの、呼びにくかったら下の名前で呼んでください…」

『それじゃあ帝人くん。…私も下の名前で呼んでね。仮に苗字で呼ぶ事がある時は、よしだの方でお願い』

____________目立つから、と付け加えて
微笑するはなこの醸し出す雰囲気はどこか矛盾していて、イビツだと竜ヶ峰は思った。同時に黒沼は、これだと言わんばかりにニヤリと笑っていた。

本名を隠し、"普通に"生きてきたかもしれない。目立ちたくない、普通に生きたい___________そう願って隠していたのかもしれない。

けれど彼女は矛盾している。
危険を愛す彼女は、自らを餌に危険を体験する。自分に仇なす者には容赦がない。




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