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手の焼ける子
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「アーラまた若い子連れてんのかい!おっと…今日はまたとんだ若い子だな!」

「違いますよマダム、私の部下です」

『こんばんは。いつもこの女たらし大佐がお世話になってます』

「ハッハッハ!こりゃぁイイ部下をもったねマスタング!」

「……いやぁ、かないませんよ」


レストランで食事を終えた二人が店から出ると、数軒先のBARのマスターがマスタングをからかった。


「全く生意気になったものだ」

『事実です』

「ああ なるほど、嫉妬か。なにせ殆ど私と行動を共にしてきた人間が言うのだからそれしかあるまい?なんだ、可愛いところがあるじゃないか」

『あ、大佐、アイスクリームやさん来てるので行ってきます』

「・・・はぁ、まったく手の焼ける子だ」

ため息をつきつつも走っていったはなこの後を追うマスタングは口角を上げ、楽しそうな顔をしていた。






ーー "人よりも失うものを持っていない者は、失うものを持っている者の役に立て"

と孤児院で育てられた。"我々は何も望んではいけない"とも。

あのイシュヴァール戦ではなこが大活躍した理由はそれだった。

死を恐れた大人達が自分達の命惜しさに、帰りを待つ者も帰る場所もない少女にしがみついた。


そして、そんなはなこを救ったのがロイ・マスタングだった。


望まず、誰かのために戦い続ける彼女は軍が欲する最高の人材といえよう。加えて国家錬金術師。欲しがらない方がおかしい。

放っておけば軍事兵器として利用される。
ならば自分の部下として、そしてなによりも制御しやすい右腕として側におけばいい。

そう考えた結果が今につながっていた。



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