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突如轟と爆豪の前に現れた少女
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切断された手首、明らかに狂ったヴィランと遭遇した爆豪とB組の生徒を背負った轟 ーー。
散歩中に出会った知り合いに話しかけるような軽いノリで現れたのは、灰色の髪に黄金色の瞳を持つ、クラスメイトの少女を思い出させるヘラリとした笑顔を浮かべた眉目秀麗な青年だった。
「……結…青離…。アンタはなこの兄貴だな。何年か前に家を出たって聞いたが……此処にいるってことはヴィランって事か」
現れた青年が誰なのかを思い出した轟は、最初に遭遇した明らかに狂ったヴィランがブツブツと独り言を言いながらも青離に危害を加えないことに納得した。
「ンなことはどォでもいいんだよ。テメェは俺がブッ殺す」
「な…オイ!何があったか知らねーが今私情を挟むのは止めろ!」
沸々と湧き上がる怒り。シワが寄る眉間。睨みつける赤い瞳。
対して青離はその怒りの原因が自分ではないと思っているような顔で爆豪を見る。
「それで爆豪君は何をそんなに怒ってるのかな。俺に逃げられた事?指一本も触れられなかった事?俺の攻撃に反応が遅れてはなこに怪我させた事?その所為ではなこの左腕が動かない事?それともはなこがなんか変わった事?…まぁはなこも年頃だか ーー」
" ドォオン!! "
しっかりと爆豪の目を見て事実を述べていく青離に今にも飛びつきそうな爆豪を轟が腕で制止したのと同時だった。黒い何かが青離を襲撃した。速過ぎてそれが何だったのかはわからなかったが、それは完全に敵を仕留める容赦ない"攻撃"だった。
青離が立っていた場所にはシュー…と砂埃を含んだ煙が上がっている。
『…外した』
すると今度は爆豪と轟の前に人影が現れて着地した。
地面に着地した小柄な人影がゆっくりと立ち上がると、何羽かの黒い鳥がその人影の周りを飛び始める。
「……はなこ…!お前なんで此処に…!」
この短い時間に信じられない事が次々と起きている。
マンダレイのテレパスで宿泊施設に戻れと指示があったにもかかわらず、何故肝試しの順番が一番最後だったはなこがルートの真ん中まで来ているのか。
ーー それよりもさっきの黒い攻撃。
どう見てもはなこが現れたタイミングといいその周りを旋回している黒い鳥といい、はなこがしたと言わんばかりの情報が目の前に揃ってしまっている。
それに加えて青離が爆豪に向けて次々と放った台詞。
ー 逃げられた…なんの話だ?やっぱりお前かって言ってたな。どっかで会って接触したってことか…?だとしたらなんでそれが誰にも知られてない?
指一本も触れられなかった?爆豪が…?
反応が遅れてはなこに怪我をさせた?その所為で左腕が動かない?動かなかったのか…?爆豪はそれを知ってて庇ってた…?
はなこが変わった事も……って事ははなこが変わった原因を知ってるって事か? ーー
轟は一瞬の間に思考を巡らせるが、それを一々確認している時間はない。
「交戦禁止って聞いてねえのか!? …おい!」
『…』
宿泊施設に戻る為にヴィランを足止めする攻撃ならまだ分かるが、今のは完全に青離を仕留める攻撃だった。
はなこの背中に怒鳴る轟。
普段冷静なはなこをなにがそうさせたのか。爆豪がされたように青離に何かを言われたとしても、単に煽られただけで感情的になる様な性格ではないと轟は勿論爆豪も知っている。
では何故 ーー
「耐えなきゃ……仕事を……しなきゃあああ、あああーーーー!!!!」
動き出すヴィラン。
ーー そう、ここは戦場。考える時間などない。
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