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最悪の組合せ!爆豪と轟!
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「…なぁ爆豪。最近のはなこ、なんか変だと思わねーか」

合宿三日目の夜、クラス対抗の肝試しの最中。
くじ引きでペアになった爆豪と轟はやや離れてコースを歩いていた。

ただでさえ轟とペアで不機嫌な爆豪は話しかけられたことでさらに苛立ちが増す。

「ァア!?知るか!つか話しかけんなつっただろ舐めプ野郎!」

「お前一緒にいること多いだろ」

「聞けや……」

ブチッ ーー。 額に青筋を浮かべ、両掌でバチバチと爆発を起こす爆豪。轟はいつどんな言葉で脅そうが表情を変えない。その態度が爆豪の怒りの炎を油を注ぐ。

「悪い」

B組の誰かが個性で脅かしてくるが、爆豪と轟にとっては突然吹いた風のようなものだった。

「だいたいクソ四次元の事ならテメェの方が詳しいだろうが」

「…いや そうでもない。…そういや爆豪。はなこが左肘から血流してた原因、お前なんか知ってんじゃねえのか」

「…ぁ?」

ーー 知っている、自分だけが。
あの傷の原因を。しかもその原因は自分。
あの日のことはプロヒーローや警察、雄英の教師にすら話していない。

はなこにとっては"家のこと"で、相手が青離の時点で誰かに言う必要も言うつもりもなかった。
一方はなこに護られ傷を負わせた爆豪は、"次倒す" つもりでいた。誰かに言う訳にはいかないのはその為。打ち合わせをしたわけでもないのに二人がそのことを誰にも言っていない理由は互いの利害が一致していたからだった。

「1日目の魔獣の森抜ける時、何回かはなこのこと庇っただろ」

「頭沸いてんじゃねェのかお前。俺の前に立ちやがったから退かしただけだ」

「……そうか」

「それ以前に話しかけんなつっただろ!」

轟は爆豪が庇うわけないよなと納得した様子で、ズカズカと歩いていく爆豪の背中を追う。

ーー はなこと自分だけが知るあの夜の事件。
轟に言われずとも分かっていた。あの日からはなこの様子がおかしい事は。
あの夜、殺気立った顔で家に連絡をとっていたはなこ。それ以降どこか遠い目をするようになった。手を伸ばして掴んでみても空を切るような、いつか本当に消えてしまうのではないかとすら思ってしまう。

A組全員でプールを借りた日も、切島や轟が声を掛けたらしいが体調不良で来なかった。爆豪にはそれが嘘だとすぐにわかった。注意して見ていれば、はなこは左腕を殆ど使っていない。

夏休みに入って毎日顔を合わせなくなったとはいえ、あのへらりとした笑顔も最近殆ど見ていない気がする。

浮かべているのはたしかにあの笑顔だが、何かが違う。ふとした瞬間には真剣に近い表情をしていて、なにを考えているのかが前よりも分からなくなった。

________…自分があの日、傷を負わせなければ。
先に反応していれば、もっと強ければ、
そうはならなかったんじゃないのかと何度か思った。事実そうだ。

そしてはなこの腕を治す方法ははなこの説明と青離が去り際に言っていた通り、青離に勝つしか無い。

そんなことを考えている爆豪の表情は轟には見えない。






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