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爆豪くんに送ってもらいましょう/番外編
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( ※ )このお話(爆豪くんに送ってもらいましょうシリーズ)は現在番外編として公開中ですが、書ききれたら番外編から外して本編と続くようにします。ので、シリーズ未完結でもこのお話内であった事や設定などは本編でも出ます。

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短く切り揃えられた、灰色のサラサラの髪。小さな顔、白い肌に映える薄紫色の瞳とほんのり赤い唇________________…端麗な容姿をした小柄な少女がタクシーから降車する。

「…………あ''?」

「えっ…はなこちゃん!?」

……少女は思う。
自分はタイミングや運というものにつくづく恵まれてないのだと。雄英転入の当日は悪天候で新幹線が遅れたり、会ったら気まずい人と次の日にバッタリ会ったり。

そして今日は(先日の事件もあり、)オールマイトと一緒に乗ったタクシーから降車すると、ちょうどコンビニ一つ先からこちらへと歩いてくる爆豪と切島とバッチリ目があったり…。

嗚呼、この距離。完全にバレている。
心配そうな顔で切島が走って来る。その背後からはズボンのポケットに手を入れたヤンキースタイルでマイペースに歩いてくる爆豪。何処か探るような目つきではなこを見ていた。

「話終わったのか!?…大丈夫か?」

『うん、大丈夫。心配かけてごめんね』

「いやそれは全然いいけど、本当に大丈夫なのか?」

『うん、ほんとに。さっきまでオールマイトと話してたから。…それよりなんで爆豪くんもいるの?』

切島とはなこの元にマイペースに歩いてやってきた爆豪。赤い瞳がはなこを見下ろす。

「あっ!いや、あー…えっと、たまたま?会ったっていうか……あ、そうそう!一緒に飯食ってたんだ!な!?爆豪!」

「……チッ」

本当は爆豪を呼び出してはなこのことを話していたが、それを知られるわけにはいかない。切島はアイコンタクトで話を合わせてくれと爆豪に頼む。
爆豪は仕方なく舌打ちをして合わせてやる。勿論これは100歩…いや、500歩ほど譲ってのことだが、相手が切島でなければ500歩は愚か100歩ですら譲っていないだろう。

『?…そうなんだ。…ごめん、ちょっと疲れたからもう帰るね』

明らかに不自然な切島にいつもなら突っ込んでいたところだが、今のはなこにその気力は無かった。

「そ そーだよな!悪ぃ…。ゆっくり休めよ。つか一人で帰んのか?送るぜ俺」

『大丈夫だよ?』

「いや、でも…」

敵連合のリーダー格に接触され、連合へのスカウトをされたはなこを一人で帰らせるわけにはいかない。
…が、"ここでは"死柄木がはなこに接触した事を爆豪には話していない設定になっている。

「テメェは電車だろーが。とっとと帰れや」

切島が親指を立てて自分を指差した時だった。爆豪がそう言った。

「いやでもはなこちゃん一人で帰らすのは…まだ時間早いっつっても夜だし」

「俺の方が家近ェだろが」

「えっ…まさか爆豪がはなこちゃん送ってくれんの!?」

「ついでに決まってんだろーが!!どーせこっから帰りゃ嫌でもこいつん家の近く通んだよ!」

なんでキレて言い返してんだとか、照れるなとか、てか家知ってんのかよとか……1-Aの人間なら大半が突っ込む場面だが、切島は "はなこの話を自分にした事を内緒にした上ではなこを送ってくれる" 爆豪に「助かるわ!サンキュー!」と純粋に感謝した。
そんな切島だからこそ、爆豪も悪い気がしないのかもしれない。

「じゃーまたな二人とも!」

『…うん。切島くん、今日はいろいろありがとう』

「気にすんな!ダチだろ!」

『……………ありがとう』

切島の背中を見送る。
そうこうしている間にズカズカと黙って先に行ってしまった爆豪。はなこは小走りで追いついた。

『なんかごめんね爆豪くん』

「うっせえ。だいたい俺はテメェを送るんじゃねぇ。帰る方向が偶然一緒なだけだ勘違いすんな」

『…そうだね』

________…疲労。
はなこは笑ってはいるが、その笑顔には明らかに疲れがあった。





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