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ヒーロー殺しの意志を全うする男
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________________いいかい。

確かに君は数多くのプロヒーローを関西を中心輩出し続けてきた名家の子だ。ここにいる生徒の誰よりも厳しい教育を受けて育ったことも知っている。
……あの瞬間、私には君が敗北を強く恐れたように見えた。君に染み付いた厳しい教育が滲み出たようにね。"だから"止めたんだ。

『…!私が…彼を本気で薙ぎ払おうとしたからじゃ…ないんですか…?』

ああ。プロヒーローは常に命がけ。レベルや学年が上がればあれくらい当然さ。
…まぁそれはおいといて、はなこ少女。これだけは覚えておいてほしい。

"君は君"だ______________

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雄英高校の夏服を来た少女が、男が放った青い炎を避る。最後に飛んで来た一つをギリギリで交わした時に、今日のヒーロー基礎学の授業後にオールマイトに呼び出されて言われた言葉を思い出す。

" 君は君だ "

________…正直、ヒーローは目指していない。
というか目指しているもの自体無い。喫茶店で爆豪と切島とで勉強会をした時になんとなくした会話で言った、「正直ヒーロー自体なるかならないか迷ってる」は通り本音だった。後からヒーロー目指してないのかと聞いて来た爆豪はやはり頭がキレるとみて間違いない。

『(この現状を維持してる個性が近くにいるはず……それを見つけて…)________…っ!』

ただ家に言われるがままに生きる。逆らうことは出来ない。否、許されない。自分はこういう運命なんだ。

そう、思っていた。

「…へェ」

気づけば走っていた。
男が大きく振るった腕から放たれた青い炎から恐らくまだ人がいるであろうビルの前に立ち、個性<完全創造>のゲート、渦巻く煙を出現させた。空間に浮かぶいくつもの煙の渦巻きの中心から突風が吹いて青い炎を吹き飛ばす。

『…私は…わたし…』

家の決まりで兄妹と半殺し合いにも近い後継候補決めをしたあの日から、誰かに手を差し伸べたり、誰かを助けるのが負ける事と同じくらいに怖かった。

でも、私は私なんだ。

「戦闘になれば冷静沈着かつ無慈悲。何よりその手で実の兄妹の運命を捻じ曲げた歩く厄災だと聞いてたが…_____________話が違うな」

両手を広げ、ビルを護るように立つ少女に男は眉をひそめる。次の攻撃の為に構えていた足を元に戻す。

100%敵に有利なこの状況で個性を攻撃の為に使用せず、それどころか巻き込まれたビルの中の人間を護った。

________…優れた状況判断・処理能力。
そして何より"本物のヒーローの思考と行動"。

突風が吹き飛ばした青い炎。しかし恐れが決断に変わった瞬間に隙があったのも事実。吹き飛ばしきれなかった炎が掠めた左腕の包帯と夏服の袖が焼け焦げていた。

「おい荼毘20分経った!俺もう限界だ!」

「るせェな…」

どこからか聞こえた声。恐らく誰も来ない状況を作り上げた個性のヴィランだろう。

『荼毘…』

それがこの男の名前。
名前で呼ばれた

「…まァいい。俺はヒーロー殺しステインの意志を全うする。だからお前は少なくとも今は殺さねェ。
じゃァ、__________________またな?」

『待っ________…』

どこか妖艶な笑みを浮かべた荼毘に伸ばした手。同時にグラリと視界が揺らぐ_______________。

『なん…で……お兄…ちゃ…が…………』

倒れた地面から見た者は?




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