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転入当日の最悪!
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『すいません……はい……』

とある駅の新幹線のホーム
自販機の前でしゃがんでスマホを耳に押し当て謝罪を述べ続ける小柄な女子高生が一人。

…転校初日でなんでこうなるのか。
ヒトはこういう時、というかこういった状況を神の悪戯や試練と例えることが多いが、神様というものが本当にいるのなら教えてほしい。

何故こうも大切な日に限って、局地的な大雨が降り、自分が乗ろうとした新幹線からダイヤがピタリと止まるのかを。




耳に押し当てていたスマホを離し、スカートのポケットに入れる。通学カバンの外ポケットからBluetoothイヤホンを取り出して耳に装着した女子高生こと少女の名は、結はなこ。
苗字はムスブと書いてユイと読む。
そんな珍しい苗字をしたものは当然県外へ出れば居るかもしれないが、少なくとも珍しい人が多い"最近まで"通っていた学校にはいなかった。

まぁ、それもそのはず少女の家は結家と呼ばれる個性婚"のみ"で作られたヒーローの名家で…

________…と、話を戻そう。
少女は"ある理由"で最近まで、というか今年の4月に入学したばかりの学校…ヒーロー科最難関の一つ、西の士傑高校を三ヶ月あまりで辞め、同じくヒーロー科最難関、あのNo.1ヒーローオールマイトも通った雄英に"今日の朝"転入する事になっていた。

『ついてないなぁ』

手続きと家の事情で転入当日は、雄英付近に借りたマンションからではなく実家からの登校になった。朝早く起きて指定席のチケットまで買ったというのにこの仕打ち。

少女はしまったばかりのスマホを取り出し、お天気アプリを開く。一時間ごとの天気を確認するが、この時間帯は降水確率10%で、それ以降〜夜までは曇りマーク。つまり、本当に局地的な雨らしい。

『…(ヤなんだよなぁ。遅刻して途中から教室入る時の空気…。…はぁ)』

少女はもう一度スマホをスカートのポケットに仕舞うと、今度は空いた左手を眺める。綺麗に巻かれた包帯は手首から夏服の半袖の中、つまり肩口までキッチリ巻かれている。


『(あー…でも)………やっと』


________________…離れられる。



心の内で静かにつぶやいて。



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