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「#エロ」のBL小説を読む
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テーピング17
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「はなこちゃんだ!すげ、ちっちゃー」
「うおーホンモノだ超可愛い」
『…こんにちは』
よしだ家の娘であり、武道家の顔で礼儀正しく会釈するはなこ。彼らは今日ここに招待された会社や企業の後継で、はなこのファンだ。見たところ大学生くらいだろうか。そして偶然か否かちょうど栄美がお手洗いへ行った瞬間、話しかけてきた。
「英徳通ってんだよね?まじ可愛い!」
『ありがとうございます』
「せっかくだから連絡先交換しない?お互い将来のためになるかもだしさ」
少なくとも出会ってすぐに連絡先を聞いて来るような人と連絡先を交換したところでお互いの将来のためになるわけがない。
はなこは笑顔で『連絡先はちょっと』と断る。
「え〜いいじゃん。俺ん家金持ちだよ?」
「いやいやだったら俺ん家の方が」
このくだらない会話に笑顔で付き合わなければならないのか。だいたいここに子供や学生で招待されるような家は皆お金持ちの部類だ。
…と、その時だった。
トンとはなこの肩にいつもの感覚が触れる。
現れたというか戻ってきたのは"いつも通りの表情"をした栄美で、はなこの肩に手を置いて少し前に出る。
『杉丸』
細身だが、服の上からでもわかる鍛えられた身体つき。身長185cmが恐らく年上であろう二人の男を見下ろす。
「なんか用スか」
彼らよりずっと自覚があり、場慣れしている栄美杉丸の圧。
「誰だよお前!今話してんだから邪魔すんじゃねぇ」
「いや、見てわかんねぇ?邪魔なのお前らだって」
俺のだと言わんばかりにはなこの肩に手を置いたまま、目線は男二人へ。彼にそんなつもりはないが、その眼は興味のないものを見る眼なのに射抜くような圧がある。
「ぁあ!?僕より年下だろうお前!」
がばっと栄美の胸ぐらをつかむ男。
しかし栄美はびくともせず、先程よりも冷たい眼で男を見下ろしている。
その態度に更に腹を立てた男が栄美の顔面めがけて拳を振りかざす________…が、栄美はいとも簡単にフイッと頭で避けると同時に、ゴッ!!…と相手の顔面に一発決めた。
彼ははなこの事となるといつだって本気だが、冷静さは捨てない。正当防衛を成立させる為、必ず相手に先に手を出させるのがセオリーだった。
「どうなさいましたか栄美様!?」
「こ…こいつが殴っ…」
「今栄美って…」
「俺の大事なツレに絡んだ挙句俺に手ェ出してきたんで」
栄美が避けたとはいえ、先に手を出した事実は変わらない。しかも相手はあのスポーツメーカーEIBIの御曹司ときた。
「申し訳ございません栄美様、よしだ様。お怪我はございませんか?」
「大丈夫っす」
二人に絡んだ大学生の二人は、あっという間に黒いスーツにサングラスをかけた如何にもなスタッフに取り押さえられ、連行された。
栄美はポケットにカードキーがあることを確認し、はなこの肩を抱いてくるりと反対方向に進む。
『カフェ行かないの?』
「やっぱ部屋でいい。ルームサービスで頼もうぜ。つかこんなことなら最初から部屋にしときゃよかったわ」
『ごめん』
「なんでお前が謝んだよ」
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