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氷遁使い!
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「すまねぇはなこ姉ちゃん!」

「はなこさん!不謹慎かもしれませんがカッコ良かったです!」


男達が去り、霧が立ち込め始めた裏路地。


『ありがとう。気にしないで。
…でも、この辺は私の第二の故郷みたいな感じ
だからたまたま通ったら見つけられたけど、
ああいう人もいるから気をつけてね。
(屍澄真…八朔………彼ら、やっぱりいたな)』

「おう!…そういえばはなこ姉ちゃん、さっきのヤツらと知り合いだったのか?」

『うん、まぁね。関わらないほうがいいから、こういう狭くて暗い路地は通らないようにクラスメイトに伝えてあげたほうがいいかも』

「…だな。まじサンキューだってばさ!」


はなこが長い袖の中で"解"の印を結ぶと、
氷が一瞬にして水に変化した。


「うおっ。っていうか姉ちゃん氷使いだったのか?」

『水を風と合わせた性質変化で氷に変えてるだけだよ』

「そんな簡単に出来るモンなのか?」

「んなわけねぇだろ。後々習うらしいが、かなり難しいって話だ。加えてあの慣れた戦闘に瞬間的な状況判断。流石としか言いようがねえよ」

「あー!確かに!俺らより弱いとか言ってたけど、やっぱ姉ちゃん強えじゃん!」

『えー……。たまたまだよ。歳下が絡まれてたら、歳上が守るのは当然だしね』

「それをふつーに言えんのがカッケーって言ってんだってばさ!」

「うんうんっ」


キラキラと期待の目を向けられるのは嫌じゃない。
むしろ嬉しいことだ。
けれど真っ直ぐ見つめ返すことは出来なかった。

あの、最悪の事件を思い出すからだ。
昨日まであった日常、関係、全てが
一瞬にして消えてしまう。


あの心の痛みと、首筋に出来た傷は
一生忘れないだろう。




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