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修行という名の露店巡り、バレる
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『これください!』


__________とある里の縁日。
村中に並ぶ露店の一つ、飴玉屋に
袖の長い漆黒の装束を着た小柄な女が一人。

数えきれないほどの飴玉を人差し指で
選び続けるその女に、店主は大喜び。
すでに二袋目に突入した。


「こんなに買っていってくれたのは初めてだ。誰かにあげるのかい?」

『うーん……うん、あげようかな!あ、でも
私飴玉大好きなので殆ど私が食べると思います!』


フニャりと笑った女は
店主に手を振って、地を蹴り
大きな石を飛び越えあっという間に山に入った。


「おおー瞬身の術か!速いな!
________…ん?けどあの姉ちゃん、そういえば額当てしてなかったな……。」


そんな言葉を聞くこともなく。
風のように去った。


『ふふ、大量大量』


誰もいない人里離れた山の中で
飴玉の入った袋を広げる。
先程選んだカラフルな飴玉を見て、ほころぶ顔。

そのうちの一つ、赤い飴玉を摘んで
口に運ぼうとしたその時だった。

背後の空間にナニカが現れた。


「露店巡りとはまた、変わった"修行"があったものだ」

『…』

「なぁ_____________…はなこ」


一気に声色のトーンが下がる。
はなこは振り向かずに、黙って飴玉を
袋の中に戻した。




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