主が審神者に就任して早三年目。私が鶴丸国永に成ってからもう三年だ。

検非違使に遭遇したり政府に疑われたりブラック本丸に関わったりと二年目が中々に濃かったせいかあっという間に感じる。

政府の方でも動きがあって、小狐丸や虎徹兄弟実装から付喪神本霊との交渉に慣れたのか続々と新刀剣男士が実装されている。

具体的には明石、博多、日本号が実装された。

ちなみに初の大阪城は無事死亡。
博多は無理だったが代わりに平野はお迎えできた。鶯丸のサボり癖を矯正してくれる頼もしい新人である。
あとダブり刀で機動と衝力はとても上がった。悲しい副産物。

日本号?知らない子ですねぇ……。


「おい鶴丸、鯰尾を見なかったか」

縁側でさやえんどうの筋取りをしていたところに長谷部がやって来た。
二年目も終わる間際にやっと鍛刀されてくれた事務も戦もこなすハイスペック刀剣男士。

「もっと早くに顕現していれば俺だって…!」とかなんとか近侍の山姥切を敵視しまくってたけど残念。彼が近侍なのは初期刀の自信と責任感を持たせるためなので私より遅く顕現した時点でその未来はないです。

事務作業を苦なくこなせる刀剣が私と薬研、堀川しかいなかったので出陣予定とか考えると役職分けが難しかったのが、一般事務と経理に分けられたのはとても助かった。仕事内容が決まってるってステキ。効率的にも精神的にも良い。

というようなことを主から熱弁して貰ってからは長谷部の打倒山姥切も落ち着いた。
多分一番安堵したのは山姥切。

で、なんだっけ。鯰尾?

「手合わせ相手が一期一振と知って走って逃げたそうだ。暴れ足りないと蛍丸が代わりに入った。そう伝えろ」

「それ一期折れないか?」

南無三。と心の中で合掌してどこかテニス部を彷彿とさせるジャージの後ろ姿を見送った。


すすっと背後で障子が開いて、隣で鯰尾が膝を抱えた。

「すみません……」

暗雲を背負う背中を励ますように軽く叩く。

一期一振による鯰尾アタックチャレンジ。本日のメニューは手合わせだったらしい。

一昨日は万屋、昨日はお茶会に誘って振られてたから内番関係ならいけると踏んだのか、そろそろネタが尽きたのか。

一期が頑張れば頑張るほど鯰尾が逃げる。 
しかも逃げた先がたいてい骨喰か一方的にライバル視している私なものだから、心中穏やかじゃなかろう。

そのたびに物影でぐぬぬと唸る一期。
隣で教育係の五虎退が私に申し訳なさそうにしてるのに気付いてやれ。
[ 71/113 ]

[前へ] [次へ]

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -