月末の棚卸し。
貯蓄倉庫の前で、資源チェック班の私たちおだて組は頭を抱えた。


「‥…少ないな」

「記録と誤差なし。だが先月より消費量30%増加ってところだ」


木炭、玉鋼、冷却材、砥石。それぞれを手分けして数えた数字を入力係の薬研に伝える。

彼は業務レベルでExcelを使いこなす数少ない刀剣男士だ。この子は私が育てた。どやっ!

慣れたようにタブレット端末に入力を終えるとすぐさま割合を弾き出す。

30%、30%かぁ…。

「検非違使相手に負傷が増えたのも重なったか」

「それもあるなぁ」

と大倶利伽羅に同意を返したところで鍛錬場の方から「長曽祢サァーーーン!」という一月近く毎日のように聞いている悲鳴が上がった。

「……打刀、軽傷手入れ1回分追加マイナス」

「了解」

「あいつらはいつまでやるんだ」

「気の済むまで、じゃないかな」



長曽祢vs蜂須賀。

あの日から彼らは練度?んなもん知らねぇ!とばかりに打ち合っている。しかも本体で。

真作が「長曽祢虎徹」を贋作でありながら虎徹を名乗るに不足なしと認めるまで、贋作が認めさせるまで、

あの決闘は終わらないし、浦島虎徹は顕現しないし、資源の消費も止まらない。

まさか蜂須賀が本当に蛍丸の少年漫画理論を実践するとは思わないじゃん泣きそう。

本丸内のギスギスが無くなった変わりにいっそ見世物のようになってる決闘だが、
あらかじめ政府に話を通しておかなければ本丸内の不審な過剰負傷で摘発されてるレベルになっている。

消費した分の責任は持つ!とばかりに二振りで遠征にも行くので話し合う機会は取れているようで、あながち遠回りで的外れな解決法と断言できないのがまた……。

「でもそれで消費分すべて賄えてないし、そろそろ決着つけて欲しいよね」

「蜂須賀の旦那が手加減も妥協もするはずないから、長曽祢の旦那に頑張ってもらうっきゃねぇなぁ」


道のりはまだまだ遠い。
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