「鶴丸さん!」
「よし来た任せろ!!」
銀の閃光が閃く。
ドサッと重たい音を立てた敵太刀が地に伏した。
辺りを見回す。
大倶利伽羅、骨喰と五虎退が脇差を仕留めた。
今ので最後の敵らしい。
全体的にいい感じで纏まってきたな。
露払いに徹していた山姥切も合流しながら連携相手だった青江とハイタッチ。小気味良い音が響く。
にっかり青江。
狙っていた脇差であり、性格や言動に一癖二癖ある刀である。
彼が顕現された時はその脇差らしからぬ身長、独特な物言いや雰囲気に気圧され気味の主を見て、鍛刀運があるんだか無いんだかと思ったが
いややっぱり主は運が良い!
この青江、戦場に出せば誰とでもそこそこの連携をとれる今の本丸に必要な刃材であった。
とくになぜか私との相性が良く、たまに二刀開眼レベルの連携が出来る。あれ凄い気持ちいい。
青江も同じなのかよく私にひっついているし、私としても頭の中で言葉選びにワンクッション置かなくていい青江とは気楽な関係を築けている。
本丸稼働、三週間。
あの事件夜に(鶴丸の犠牲で)暴露された主の心中を慮り、こんのすけによる審神者業講習が始められた。
参加者は主、永久近侍で初期刀の山姥切、懐刀の小夜らは必須として、全体のサポート役として私が推薦された。
ゲームとこの世界の差異について確認はしておきたかったから問題はない。
ちなみにこの研修は普段の本丸運営+αのため時間を捻出せねばならず、内番以外の家事掃除業務が他の四振りに振り分けられた結果大倶利伽羅が厨の番人として君臨したのは余談である。
麻婆が美味い。
それから新しい発見として万屋!
あれはゲームだと通販みたいな感じだけど、ここでは街みたいになっていていろいろ楽しい。
通販もあるけどね。
最近は暇を見つけては万屋街の図書館に行っている。
現世の小説なんかもあるが、読んでるのはもっぱら戦略や歴史、刀剣についての本だ。
鶴丸の知識はかなり豊富だが、関わりのなかった歴史や刀剣については無い。
そこを“私"の知識だけでは補えないのでこうして勉強している。
図書館にこもる鶴丸国永が珍しいのか視線は感じるが、ここに来る審神者はみな勤勉だ。
すぐにそれぞれ自分の本に集中するので気にした事は無い。
そんな私の横で孫氏、諸葛亮孔明、五輪書、戦争論などの山を積み上げていく骨喰は最近軍師として目覚めたのかエグい作戦をよく立てるがそれを主にプレゼンするのはやめといた方がいいと思う。