さてそんなある日のことだ。

最近仲良くつるんでいる子たちのうち、最年少の口裂け女ことチサちゃんが面白い情報を持ってきた。

「ねぇクロハ様、知ってる?付喪神が肉体を持って人間に協力してるらしいわよ」

ファーーーーwww
付喪神か!なるほど人間も考えたものだね。

人間が直接歴史に介入すると、どうしてもその痕跡が残ってしまう。ちょっと服の切れ端が落ちるだけでもその時代に無いものを残すことになるから、歴史を変えるにせよ守るにせよ、意図しないところに影響を出すし、人間の身体能力にも限界がある。

その点、霊力やら神力やらで構築された存在ならばその時代に痕跡を残そうとしたところで、______たとえば服の切れ端を落としたところで消滅するだけだ。

だから人外に力を貸してもらおうという動きがあったことは知っていた。

が、神話になるようなガチモンの神様や土地神系は歴史が変わったところで人間が存在するかぎり消滅することはないし、大きく存在が変わることはないので協力する理由はないし、そもそも人間に制御出来るような存在ではない。

ならば妖怪はどうか?
たしかに使役するという面ではかつて陰陽師たちがいたし、今でもそういった人間は存在する。神より制御もしやすい上、人間の歴史や習慣、教訓から生まれたものも多い。

しかし私たちは基本的に好き勝手生きているだけだし、死は消滅ではない。
たとえば私の生まれた頃に仲良くなった酒呑童子だが、彼は一度人間によって殺されている。しかしその妖怪退治伝説が彼の物語となり書籍にまでなっていることで、彼は何度殺されようとも蘇ることが出来るのだ。

最近は隠居して人間を喰う代わりに酒をかっ喰らっているらしい。酒が原因で退治されたにも関わらず反省もなく元気なことである。令和の頃にあったのが最後だが、その時はストロング○ロを飲んでいた。アルコール度数は24%
まあ鬼だしな。こんなものかと思えばこれはチェイサーとか言い出した。横にウォッカ置いてあった。怖っ。

閑話休題

都市伝説や教訓生まれの妖怪怪異たちはある意味人間によって産み出されているが、これもまた人間が存在するかぎりいずれは産み出される必然にあった存在である。つまり歴史の影響なんて微々たるもの。
生まれる時代が50年ほど前後するだけだろう。気にするものはいない。

神や妖怪は人間と同じ土地に生きてはいるが、同じ次元には生きていないのだ。

その点付喪神はどうだ!

人間がいなければ産まれず、人間に使われなければ付喪神にならず、折れたら……まあ例外あれど死ぬ。人間の歴史の波に翻弄される1番の人外だ。

道具という性質上、本能で人間を愛し、神として信仰することで力を得ることができ、妖怪として使役できる程度に力を落とすことが出来る。

人間もよく考えたじゃないか!

まさかそれに肉体を与えるとは思いもしなかったが。
[ 6/50 ]

[前へ] [次へ]

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -