弟と友人をいっぺんに失った私はやっぱり寂しくて陰陽師に遊んでもらいに行った。

行った先で、彼もまた寄る年波には勝てず息絶えようとしていた。

嘘やん。やめてよそんなの。

庭先に降り立った私に式神たちも気付いてるけど、今日ばかりは追い返すことはしなかった。やめてよ、いつもみたいに追いかけ回して追い立てて、それ見て陰陽師が苦笑しててよ。なんで笑ってくれないのさ。



ぐすん、ぐずぐす。

妖怪になってから時間の流れが速い。ちょっと出かけてただけのつもりが、人間にとってはもう何十年も経ってる。仲良くなった人の子が、どんどん私を置いていく。

久しぶりに会いに行った先生は泣き止まない私に人と関わるのが向いてないと言った。
関わらん方が良いと言った。

そんな先生に近い未来、弟弟子だと私でも知っている未来の偉人を紹介されるとは思いもしなかったけれど。


私は先生の忠告を胸にとどめつつしばらく陰陽師の孫を見守ることにした。

幼い頃からじじいコンプレックスこじらせてたみたいだけどもう立派な陰陽師だ。

嫁のお姫様は私にも良くしてくれて可愛いし大好き!
時折力を貸してあげつつ雑鬼たちを可愛がりつつ、白い物の怪に威嚇されつつ、その生涯を見届けたあたりでそろそろ離れる事にした。

見える子たちに惜しまれながら、式神たちにしっしと追い払われながら。
最後までつれない式神たちである。いやいたずら仕掛けては笑ってた私も悪いけど。
後悔も反省もしていない。(`・ω・´)キリッ


バサッとすっかり自分の体に馴染んだ羽を大きく広げ、澄んだ空へ飛翔_______。



私は妖怪である。

人と違う時間を生きる者。

人のルールに縛られず、時間にさえも縛らせぬ。

けれど人も妖怪も好いている。


そんな私はいつしか妖怪たちからクロハと呼ばれ、古参の大妖怪として慕われることになるのだが、

それはまた、もうしばらく後の話である。
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