翌日、例の妖怪について聞くため勇気を振り絞って三年の教室を訪ねた夏目を
「馬鹿者。止めておけ、関わるな」
一刀両断。ズバッと否定した詩織は人気のない場所へ移ると憂いの表情を浮かべた。
「実は少し前から厄介な妖がこの町を徘徊していることは知っている。一族としても放ておくわけには行かないのでね。祓い人でもない少年が関わることでは…」
「友人が襲われたんだ。それでもただ見てろというんですか」
引き下がらない夏目にどうしたものかと渋面を作った。
「……どうしても、というのなら今日うちへ来い。ただし、用心棒をきちんと説得してな」
そして本当にやって来た夏目を前に、足元の先生へ「用心棒なら引き止めろ」と言いたげな視線を投げたのであった。
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