それは君がここに来てずいぶん月日が経った頃



秋晴れの空が高く高く、


それは気持ちのいい日で



真っ青な空の下、すすき野原の真ん中で






私が訊ねた言葉を君は憶えているだろうか






「銀時にはこの世界が何色に見えますか?」





そして、私のその問いに何と答えたか、君は憶えていますか






履き潰れた草履で足を傷つけて、

私におぶられながら、君は







すぺーす=====





かつて


黒と白の中に時折赤が散るような

そんな世界に君は居た





だが



私と出会い



仲間と共に学び



そうして過ごす時間の中で





君の世界は確かな彩りを持った










この世界は


きれいな色をしていた、と



君はそう答えたんです




そしてその後

少し恥ずかしそうに

私の背中に額を押し付けながら





ありがとう、





そう呟いた






君の紡いだその言葉たちを


私はどんなに嬉しく聴いたことでしょう














季節は何度も巡る



私はいつまで君たちの傍に居る事ができるでしょうか





いずれ君たちは私よりも年を重ね


様々なものを見、


様々な経験をし


時に立ち止まり悩みながら



それでも歩いて行かなければならない







越えて行く遥かな時の中で



私たちが共に過ごしたこの日々が



いつか思い出という名の記憶になりその色が褪せてしまっても



そこには美しい色があった



君たちがそれを憶えていてくれることを私は願う



その曇りのない瞳で見、その純粋な心で感じたものは



いつまでもいつまでも






輝ける君たちの魂と共にあると




















あの丘に咲いていた桜は
あの頃と変わらずに今も
美しく咲き誇っているだろうか



あの場所にもう

私達が居なくとも

どうかあの時と変わらぬ彩りで

その生命の力がある限り

その魂の輝きだけは散らせる事なく



どうか


強く美しく咲き誇れ




















fin【20100630】



ヴェラルダル・ナグリ:北欧神話
(大天の中心。)







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