はらはらと散る薄紅の花弁は
僅かな郷愁を思い起こさせた



あの丘に咲いていた桜の木は
あの頃と変わらずに今も
美しく咲き誇っているだろうか





先生


松陽先生



あなたがくれた魂の道標は


今も俺たちの中にある







ヴェラルダル・ナグリ











銀時




君は覚えているでしょうか




あの丘の桜が一番美しい頃




訝しげな顔をして、ためらいがちな歩みでもって、けれど、私を信じて君はこの塾に来てくれた



それから数日経った頃



「銀時。君の好きな色は何色ですか?」



あまりに擦りきれ汚れた着物を着ているものだから



町に出たついでに君の着物を新調しようと訊ねた私に



「…ない。」



目も合わせずに君はそう答えました






傍にいた小太郎と晋助が

その態度は何だと君に詰め寄って

結局は3人で叩き合いの喧嘩





それを見て私は

何故だか安心したのを憶えています


君たちはそうやって喧嘩もしながら、共に歩んで行くのだろうと



君たちが共に学び成長して行くこの時間は、きっと何ものにも代えられない宝となるでしょう









この世界の全てを抱き取る真っ青な空


遠く離れていようとも、全てを繋げる腕(かいな)


悲しい時共に泣き

喜びの時は共に喜び


常に広く


常に傍にある





そんな蒼穹の色をした着物を私は君に選びました











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