辰馬の見た女の子は、陸奥だった。

彼女の幼少の頃の姿。

その後も、他の子供たちが現れては消失するのを見た。

その子等は、快援隊の乗組員だったり、よく見知った友人だったりした。

辰馬はひとつの結論にたどり着く。


(どうもこの星は、わしの知っちょる人間の、子供の時の姿が見れるにかーらん。)

宇宙には、不思議な事が五万とあるものだと、 しみじみ感じた。




---ならば。


会ってみたい仔等がいる。



いつも艦隊の窓から見下ろしている、あの蒼い星に生きる、かつて命をかけて共に戦った仲間---。


辰馬はゆっくり、瞼を下ろした。

---金時、ヅラ、晋助---。


願いながら、再び目を開ける。


すると---



「…おーの…!」


辰馬は感嘆の声を上げた。


目の前に、佇む3人の仔共の姿が現れた。

一人は、身なりもしゃんとして、きれいな黒髪をひとつに束ねた、利発そうな仔。

(ヅラじゃ!)

もう一人は、いい家柄の出と判る紫色の着物を着た、細身の仔。

教書のようなものを大事そうに抱え、仔桂と何かムキになって話している。

(晋助か!しょー、えい家の坊っちゃんのような顔しちゅうの…!)

そして、最後の一人。

ふわふわの銀髪に青い着物、二人の言い合いにまるで無関係という顔をして鼻を掘っている仔。

(金時…!まっこと子供の頃から何ちゃあ変わらんのぉ!)

辰馬が感極まって子供たちを見ていると、ややして彼らは同じ方向へ歩き出した。

「どこに向かっとるんじゃ?」

せっかくなので、辰馬は、彼らが消えるまで一緒に歩いてみる事にした。


小さな友の歩幅に合わせ、ゆっくり歩く。

子供というのはやはりかわいらしいもので、表情をころころと変える様を見ていると、思わず顔が綻んだ。

幼い彼等を見るのは実に新鮮で、辰馬はぼんやりと、攘夷戦争期に共に過ごした彼等の姿を思い出して面影を重ねてみたりした。



ややして、仔桂が何かを発見したのか、ぱっと顔を上げる。

それに続いて仔高杉もその方向を見、顔を輝かせた。

仔銀時はじっとそちらを見つめている。

そうして、仔桂と仔高杉は嬉しそうに駆け出した。







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