05

迎えた翌日。
彼女を稲荷崎応援席から少し離れた場所に見つけ俄然やる気が出ている

「本当ににあの人来てくれたんだね」
「おん、おった。隣の男には負けん」
「何張り合ってんの」

コートから彼女を見れば今日は友達と二人で何かをを頬張っている。そちらを見ていることに気がついた隣にいるおそらく赤葦という男が肩を叩き指を指すと名前さんはこちらに視線を向けて手を振ってくれた。俺はそれに手を振って答え、コートへスパイク練にむかった。


***


「本当に知り合いだったんですね。名前さん」
「言ったじゃん、赤葦。夢じゃないよーって」
「夢はないとはおもいますけど、あ、すごいこっちみてますよ」
「おー、宮治くーん」
「フルネームて」「双子だからさあ」

インハイで私たち梟谷はベスト8という結果を残し昨日敗退した。
今日は部活がオフとなり私たちは次の春高に向けて他の高校の試合を観戦しようとマネージャー内で話になり、雪絵と私でむかうことになった。かおりは用事を入れられてしまったらしい。そこに二人じゃ心配だと木葉達に言われ白羽の矢が立ったのが赤葦。まぁしっかりしてるけど、木葉におまえら二人なのは不安だ!と叫ばれたのは複雑だ。


「名前はふわーっとしてるから余計だよねえ」
「それは雪絵もじゃん」
「似た異なると思いますが…」



こちらを見て元気そうに走っていった彼を見つつ今日もおにぎりを頬張る。
なぜあの時声をかけてきたのか未だにきいていないが、そう言えば何が理由なのか、今度聞いてみるのはいいかもしれない。


「お、はじまるね」
「稲荷崎は応援すごいよねえ」
「あたりたくはないですね、これと」


横に稲荷崎の応援歌を聴きつつ試合開始を待った。


***


結果として、稲荷崎はIH準優勝を飾っていた。
優勝は佐久早くんがいる井闥山。
相変わらず彼の手首はすごい可動域だった。

「ねぇ、名前宮兄弟の片割れのとこ行かないの?」
「疲れてるからいいよ、申し訳ないし」

「名前さん!」

「言ってた人来ましたよ、俺、先行ってますね」
「はーい」


試合が終わった直後なんなら、表彰式の後だろうに走ってこちらに向かってくる姿はまるで犬のようだ。
稲荷とついてるし狐もありか…と考えしまった。


「お疲れ様、宮治くん」
「ありがとぉございます。負けましたけど」
「2位だってすごいことじゃない。全国で2番目だよ。すごいよ」
「はい…」
「負けた時にさ、かける言葉なんてお疲れよく頑張ったってくらいしかないけど頑張った人に頑張れた人にそれを伝えるのはわたし苦手でさ」
「?」
「ずっと頑張ってんだから、当たり前じゃん。頑張ってきたから結果がついてきてんだもん。だからえーっとなに…うーん。あ!次もここで会うために勝ってね!」

「え…」

「名前がナチュラルに口説いた」
「あの人ほんとそういうとこですよね」



まどろっこしすぎて途中から何を伝えたかったか忘れてしまったからまたここで会おうねと伝えたが後で二人には天然めと攻められた。

宮治くんは顔を真っ赤にして固まっていたところを双子のもう一人に回収されていた。

帰り際に自分のことを名前でーと叫んでいたが後で連絡が来るだろう。



「あー!お腹減った!」
「何食べよっかー」

「俺、もう帰りますよ」


それよりなりより腹ごしらえが先だ。

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