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「改めておめでとうございます」
『ありがと

3月、卒業を迎えた#名前#さんに電話で祝福を送る。
先日、卒業式だったそうでその日はお昼に少しだけ電話をしてその奥で木兎が騒いでいる声が聞こえていた。
今年のIH、梟谷は準決勝で敗退。優勝はあの井闥山にかった高校であった。

「ところで学校名は」
『まだ内緒
「ええ加減教えてくださいよ…」

調理の専門学校に進むといった名前さんは都内なのかと思えば進学先は大阪らしく聞いた時に驚いたのを覚えている。
卒業式のあと、わざわざこちらまできてくれて2人で遊んだことが記憶に新しい。
しかもこの人昨日今日で1人住まいのアパートへ越してきたらしく、散歩がてらに散策しているという。

『治くんは今部活?』
「そぉです。今は休憩中で」
「『だからかぁ!ボールの音聞こえてこないの!』」
「!?」
「あ、こんにちはー。へぇー、こんな感じなんだねぇ」
「名前さんやん!どうしたん?」
「あ、宮侑くんか〜。主将になったんでしょ?がんばってね。来年の梟谷もつよいよ〜!」


「いやそうちゃう!名前さん!何でおるん!?」


とんとん拍子に進む話に切り込むタイミングをなかなか見つけられなかったのと彼女の登場に驚き声が出なかった。
嘘だろうか。この人がなぜここにいるのだろうか。
付き合ってはや2ヶ月ちょい。
電話は毎日すれど会えたのはIHあとは1度きり、
耳元では通話が切れる音がする。

「きちゃった!」

座っている俺に目線を合わせて屈んで笑った名前さんはそういうとそのまま自分の方に飛び込んできた。

「きちゃったってどういうことなん?え、なんでおるん?」
「遊びきちゃった〜」

にまにまと笑う名前さんはとても楽しそうに大阪の専門行くんだよ、と侑たちに話し出した。
気づけば監督が集合と声をかけに体育館に入りこっちをみれば梟谷のマネージャーの!と騒ぎ出す。

「これからは前みたいに電話もできるけどもっと会えるようになるよって言いにきたかったんだ。練習の邪魔しちゃ悪いから、またね。」
「え!うえでみてってくださいよ!」
「サムがホームラン打つでー。みんな後頭部守りー」

いつもならやかましく感じる声援も、名前さんのものなら嬉しくおもう。

「ふふふ、じゃあ、少しだけ見ようかな」
「ツムー!お前に負けへんぞ!」

好きな人がこんなにも近くにいることが嬉しく思うとは。
あの日の侑に少しは感謝をせねば。

名前さんは自分は好物を最後までとっとくといっていたがそれは俺とて変わらない。
目をつけた好物は決して手放したりなどしない。

隠して俺は高校2年の夏、好きになった人を手に入れたのである。

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