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驚いた。
まさか、そういうふうに思ってくれていたとは。
自分がまさかそんな答えを伝えるとは。

「お返事は次の春高で」

なんて口に出してみたけど春高まではあと3週間ないくらいだ。
もう少し早かった方が良かったかとか、自分の気持ちはだとか考えても答えは出てこない。

「何してんの、名前」
「かおり…」
「え、何その顔。」

どんな顔だろうか。
そんなことを思いつつ全てを話す。
告白されたこと、勢い余って春高までと答えてしまったこと。

「…あ、そう」
「あ、そうって!」
「でも、あんた宮治の事話してる時はすごく楽しそうだったよ。それでいいんじゃないの?」
「そうだよ〜、名前関係ない他校の男子フルネームじゃないの珍しいじゃん」
「雪絵もいつのまにいたの…」

ポキポキとお菓子を食べつつ話している間に雪絵も混ざる。
いわゆるこれが恋愛トークなるものだろう。
ふたりはいままで聞いたこともなかった私の話にずっと耳を傾けてくれる。

「私、治くん、友達として好きと思ってたんだけど」
「わざわざ友人に家族旅行先で二人で会うの?」
「…会わない。」
「最初から興味はあったんでしょ」
「じゃなきゃ、毎日電話なんかできないよ」
「それに、人を好きになるのなんて言われてから気づいてもいいんじゃない?」

そっか。そうなのか。
私は、彼が
治くんのことが


「好きだったんだね。」


思いのほかすぐ出た答え。
今日も電話できるだろうか。
昨日まで気づいていなかったことに気づいて私はちゃんと話せるだろうか。
そうだ。進学先の話もしなければ。


「あーあ、もう自分の思考の中だよ」
「あぁなると、とまらないよねぇ。名前」


いつぶりに人を好きになっただろう。幼稚園の時だったかな。クラスの人気者だった気がする。
ちいさくて覚えていないけど苦い思い出だったはず。
学生になってからもこの食欲がみんなから引かれた。
男の子で初めてだった。あんなに付き合ってご飯を食べてくれる人。
また、ご飯に行きたいと願った人。

「ふふふ、直接会いたいなぁ」
「すぐだよ」
「あと3週間?」
「最後の大会でそんなの見れるとはおもってなかったなぁ」

高校最後の春の高校バレー。
きみに好きだと伝えるからだからあと少し待っててね。
そう思いかけていた椅子から立ち上がり、二人と一緒に部活に向かう。

その日の夜の電話は夕方同様、治くんからの着信で通話が始まるのだ。
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