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「はぁぁぁ〜・・・最悪・・・。何でこんなに間が悪いのよぉ〜」
肩を落としたパロマは、元気なく雑巾を絞る。
彼女はその後自分の部屋に逃げ帰り、慌てて濡れた仕事着を着替えた。それから二人が浴場を後にする位の時間をドキドキしながら見計らい、人のいる気配が一切しなくなってから、浴場から自分の部屋まで付けてしまった水滴の道しるべを地味に拭きだした。
床をゴシゴシ拭いている自分の背中の上の空気が、鈍より重い気がする。無心に拭いていたつもりが、ちょっと頭に隙ができると、さっき垣間見た二人の引き締まった上半身を思い出してしまった。
(―――初めて、見たぁ・・・男の人のからだ。)
いつもは着痩せして見えるのか、エリオットは鍛え上げられた広い胸板で贅肉なんて全くなかった。ブラッドは運動なんてしなさそうだからきっと華奢な造りだと思っていたのに、筋肉質で均等のとれた肢体をしていた。自分に回されたしっかりした腕、湯船でほんのり色づいた二人なんか諸々を思い出してしまって、パロマは真っ赤になって身悶える。
(キャアア!!!思い出しちゃダメ!しっかりしてっ私!!)
同じ場所ばかり何度も雑巾がけをして心を呼び戻していると、誰かが廊下の先から走ってくる軽快な足音が響いてきた。
「パーロマ〜」「おーい!!」
ディーとダムがニッコリ笑顔でパロマに駆け寄ってきた。そして立ち上がったパロマの両脇を二人でガッチリ固めて、一切の動きを封じる。
「??」
「パロマ〜聞いたよ?ボスとひよこウサギと仲良くお風呂に入ったんだって?」
「しかも洗ってあげたらしいじゃないか。僕達にはそんなサービスしてくれないのに?」
(情報早っ!!しかもとんでもなく事実が湾曲して伝わっている!?)
恥ずかしいやら、何て弁解したら良いのやらで、パロマは愕然とするばかりだ。
すると、双子の笑顔が急に脅迫じみた物が混じり始めた。
「もちろんパロマは差別なんかしないよね?兄弟」
「そうとも兄弟。奴隷なんだし、ちゃあんと僕達とも遊んでくれるよね。」
そう言って、二人はパロマを引きずるように浴場まで連れて行った。



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bkm


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