15
ブラッドのマシンガンとも、ペーターやエリオットの銃声とも違う。


ゴゴゴゴ・・・・・・


審判の間の遥か上空から不可解な音が響きだした。
誰もが動きを止めて頭上を見上げると、パラパラと尖った鉄の塊が不気味に降ってくる。
何かの破片の大きさが次第に大きくなって、床にドスドスと突き刺さる。地面は瞬く間にヒビが入って瓦礫まみれと化していった。
パロマは凶器にもなり得るそれを慌ててかわしながら、何が起きたのかと注意深く天井を仰ぐ。
すると、


6体ある甲冑の内の、1体の頭部である鉄仮面が、グラっと揺れた。


―――   !!!!


パロマがヒッと息を止める。
揺れた後の展開は速かった。
小人達を見下ろす様に、意思のない鉄火面が耳障りな音を発しながら下に傾く。
しかも傾くだけに止まらず、人間だったらあり得ない角度までひん曲がり、ついには


ギギギギ・・・バギィィィンッ
何かが、折れた。


支えを無くした鉄仮面は重力に逆らわず、太い胴体に何度もぶつかって、高速回転を伴いながら急降下してきた。脅威も脅威。すさまじいスピードと重量感。それがグルグルと回転しながら真っ逆さまに落ちてくるのだ。
全員が戦い何処ろでは無くなった。
瓦礫を飛び越え、降ってくる鋭い鉄塊は己の武器を使ってはじき返す。
一段と大きい塊がボリスめがけて落ちてきて、彼はそれをヒラリとジャンプして回避していた。
地面に鉄が突きささる度に振動が走る。
パロマはまた亀に戻って、懸命に両手両足を動かし部屋の中央から遠ざかる。
鉄同志がぶつかり合う脅威の音の発信源が、すぐそこまで近づいていた。



ズッシィィィ・・・ン



最も巨大な鉄塊が地面に深くのめり込んだ。
落ちてくるまでに全員が避難し(すんでの所でパロマも回避成功)、怪我もなく無事だったが、
それにより誰もが戦意を失った。
腕を上げて上空に銃を発砲した人物が1人―――






「お前達、くだらない争いはそこまでだ。」








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bkm


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