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間近の斧が恐怖に歪んだパロマの表情を映し出す。パロマは足から崩れて、またもや地面にペタンと座り込んでしまった。
斧が飛んできた方角に恐々目を向けると、
投げた人物はディーでも無く、ダムでも無かった。
「っ!!」
パロマは両手で口を塞ぐ。余りの酷さに言葉を失った。


もう一つの斧は、無造作に投げ捨てられていた。
武器を失った二人は、それぞれが円形の間の壁に背中を打ち付けている。
背にした壁は二人が当たった時の衝撃のせいか、酷く窪み巨大な蜘蛛の巣の様な亀裂が走っていた。
肩で激しく息をしている。
震える腕で支えてはいるが、立ち上がれないのだ。
それもその筈、
二人共、折り曲げた身体の真下に、尋常ではない血溜まりが出来ている。
ディーは頭から肩から今もなお止めどなく血を流し・・・深く傷を負っていた。
ダムが苦しそうに前屈みになったと思ったら、両手で腹を抱えてベシャッと大量に吐血した。




「ディー!ダムっっ!!」




武器の怖さを目の当たりにし、心が追いつけない。
現実離れし過ぎている異様な光景がそこにはあった。出来るのならば、今すぐ双子の元へ駆けつけたかった。
しかし、目前の斧がそれを許してはくれない。
双子が持っていれば何ともなく見れていたのに、持ち主から離れたそれは、無機質なのにもかかわらず邪悪さを醸し出し、黒光りしてパロマの動きを遮っている。
そしてその斧をパロマに向かって放った張本人、
投げた構えをしたままなのは、




「おいおい、やっと面白くなってきたのに、勝手に試合放棄は無いだろ?」
双子の返り血を浴びて、真っ赤に染まったエースだった。





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bkm


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