05
ピキッ、ピキッ、ピキッとハートの城サイドの人物達の顔面に青筋が立つ。
口の悪い双子、思惑通りにムードを一気に険悪なものへと変えた。ヘラっとしているのは、棘を刺されたとは露程も思わないエースのみ。
「そっかぁ、それじゃあこの一帯が関係者以外立ち入り禁止と分かっていながら、堂々と踏み込んできたんだね。帽子屋屋敷の皆さんが揃いも揃ってお出ましとは、穏やかじゃないね〜。内部紛争は収めてきたの?」
血気盛んなディーとダムが、進んで前に出て巨大な斧をブンとなぎ払った。息の合った動きは斧が中央で交差し、摩擦でバチバチバチッと火花が散る。
「遠くにお住まいの騎士さんが、何でそんな事まで知っているのさ〜。気に食わないね。」
「僕達、今相当頭にきているんだ。斧の錆になっても知らないよ?」
パロマの脅しとは比べ物にならない位、二人のそれは様になっていて、凄味がありさらに殺気立っていた。
「ディー、ダム!今そっちに―――グゥッ!」
双子のただならぬ雰囲気に焦ったパロマは、エースの圧力もその時はすっかり忘れて、横をすり抜けようとしたが、一歩も動く事無く首根っこを引っ張られた。思いっきり前へ飛び出したので、酷く首が詰まって体勢を崩す。
「おっと、あんたは俺の獲物だ。勝手に動くなよ?」
パロマの首を締めあげているのは、ボリスだった。
両手を後ろに回して必死に彼の手を退けようとするが、力の差は歴然だった。彼の指一本も動かす事が出来ない。逆にもっと力を加えられ、息が詰まって苦しくなった。
「何だよ〜。殺される気配も分かんないの?危うく斬る所だったぜ。」
前を向いていた筈のエースが、何気に構えを変えていた。左脇に剣を構えた姿はそのまま引けば、パロマが通り過ぎる時には首が飛んでいただろう。ゲッとしたパロマは、
「騎士さんなんかに殺らせる訳ないだろ。こいつを殺んのは俺だ。」
ボリスの言葉にギョッとした。


「この女には、アリスにある事無い事言いふらされた恨みが詰まってんだ。誰にも横取りさせないからな。息絶えるまで、いたぶってやる。」


パロマの後ろから呪い殺しそうな勢いで、ボリスがパロマを睨みつける。


「何を言う!こやつはこの城に盗人如く忍び込み、わらわの大事な宝を台無しにした大罪人じゃ!!首を撥ねる所を寄ってたかって邪魔しおって。こやつの処刑は、このハートの城が執り行うのじゃ!最も残酷な方法で頭を切り落としてくれるわ!!」



権利の話になった途端、ビバルディが割って入って来た。遠くの安全地帯から、メガフォン級の声を張り上げている。どこでもパロマは悪い意味で引っ張りだこだ。そして当然の如くブラッドも参戦してくる。



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