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「ペーターもパロマも止めなさい!!!」
礼儀もそっちのけで、ビバルディを通り越し二人に近付いたのは、時計塔から駆け付けてきたアリスだった。ユリウスと別れてから最短の道で只管先を急いだ彼女だが、何とかここまで辿り着いたのだった。城内に入って兵士がゴロゴロと倒れていたのに、ビックリ仰天した事は言うまでも無い。
息を切らしながら近付くアリスに、二人は猛然とダッシュして・・・・




両サイドから彼女に抱きついた。





「アリス―――!やっと会えましたぁああ!ホントにホントに会いたかったです〜。貴方を思わない日はありませんでした!」
「何を!!会いたかったのは僕の方です。一時間帯だとて貴方と離れていては、僕は死んでしまいます!」
「ギャッ!ちょっイキナリ何なのっ!!」
「アリスアリスー!!」
「アリスアリスアリスー!!」
「ちょっと!私より一回多く呼ばないで下さい!アリスアリスアリスアリスアリス〜っ!」
「貴方こそ、軽々しく名前を口にしないで頂けますか。アリスの名が穢れます!」
「いたたたっ!苦しい!苦しいってば!!」
二人してギャーギャー喧嘩しながら、ギューギューとアリスを締め付ける。




「ん〜?ペーターさんが二人に見えるのは、俺だけでしょうか、陛下。」
「・・・・・。」
目を擦って二度見しているエースを無視しつつ、実は同じ事を感じたビバルディだった。





「アリスが苦しんでいるではないですか。早く離れなさい!黴菌がアリスに移ります!!」
「だから、私は汚れていないって言っているでしょ?!それに何なんですかっ異性に対して妄りに抱き付かないで下さい!!離れなければいけないのは、貴方の方です!」
「僕だけは許されているのです。そうですよね、アリス?久方ぶりの抱擁を存分に分かち合いましょう。」
「なっ!!何を根拠にっ!私だってアリスとの導かれ合う奇跡的な運命を、心行くまで喜び合いたいんです!」
ペーターとパロマは、アリスを真ん中に「そっちが離れろ」、「いや貴方だ」と足で蹴ったり耳を引っ張ったりしている。いい加減息苦しくなってきたアリスの、堪忍袋の緒が切れた。




「あつっっっ苦しいのよ!!!!あんた達!」





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bkm


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