04
「えっ?!そ、そんなっ!!」
ビックリして視線をナイトメアに戻したら、彼は首の前に手を持ってきて切る真似をしていた。
ご丁寧な事にあたかも首を切断されたみたいに、白目で舌を出す演技までしてくる始末。こちらは先程の大根具合とは雲泥に、かなり真実味を帯びた白熱の演技だった。
パロマはガクガク脅えて、湯飲みのお茶が揺れすぎて淵からこぼれ出た。
「こ、怖すぎる!!―――何で・・・何で作戦が失敗したのでしょうか・・・。絶対上手くいくって自信があったんです。透明マントに何か、不具合があったのでしょうか。そう言えば帽子屋屋敷を出る間際も、エリオットさんにあっさり見破られました。」
パロマは帽子屋屋敷の仕事部屋での出来事を思い出した。
あの時も、真っ暗闇の中でマントを羽織るという二重に身を隠した状態だったのに、エリオットは何の迷いも無く自分に向かって詰め寄ってきた。どう考えても穴があって見えていたとしか思えない。
「あ。あれ?それはそうだろう。一般人ならまだしも、役持ち達や彼らに仕えている有能な部下達が、姿が見えない位で気配に気づかぬ訳がない。あのマントは言うなれば、う〜む・・・イミテーション?的な?」
穴があった訳では無かった。
完全にパロマの一人芝居だ。
パロマがスクッと立ち上がり、ナイトメアの座イスの背もたれを思いっきり蹴飛ばす。反動でナイトメアが可愛らしくコテンと反対側に倒れた。と、そこにパロマが逃げる隙を与えずすぐさま馬乗りになって、ナイトメアの胸倉を鷲掴みする。
「あなたは!!!貴方と言う人はあああああ!!!!!」
「わ、悪かった!ちょっとした遊び心だ。ぐぇっ!すまんっすまん!今度はちゃんとした物を用意するからっやめろっ!振るなっ振るなと言っているのが分からないかっ―――ぅうううっぶはぁ!!」
横向きで大量に吐血したナイトメアの嘔吐く声と、「いやぁああ!またですか!」というパロマの悲鳴が夢の世界に響き渡った。


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