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そう、彼女が手に取ったのはたったの一枚。
パロマが工作員だと断定したからブラッドは気にも留めなかったが、それは以前作成された1人の少女個人に関する情報が明記された書類だった。





「アリスだ―――」





「お〜い、話し合いは足をどけてからやってくれって、いっっでででででで!!!!!てっめぇ、やめろよ!!」
ブラッドは怒りにまかせて、煩く喚くジャックをグリグリと踏みつける。
「そもそも、お前がくだらない潜入工作等仕掛けるから、話が拗れたんだ。このままくたばれ!」
「いだだだだ!!!冗談じゃねぇよ!!」
そこで勢いよくドアがバーンと開いた。部屋に入ってきたのはディーとダムだった。彼等が手に持つ斧は真っ赤に染まって、ドロリとした血をボタボタと滴らせている。
「どう言う事?パロマがいるって聞いたから付いて来たのに。」
「これじゃあ、全然楽しめないよ。」
ゆがんだ表情を浮かべた彼らは、今にも発狂しそうだった。
「良い所に来たお前達。この救いようもないアホが、あいつの向かった先を指し示してくれたぞ。そのお礼にジャック・クロフォードの組織を再起不能なまでに破壊しろ。溜まりに溜まった鬱憤を、すべて晴らしてしまって結構だ。」
ブラッドが笑顔でとんでもない事を命令した。それに対してビックリ仰天のジャックは、顎が外れた様に大口を開けた。双子は初めきょとんとしていたが、ボスの『大暴れ黙認』の許可が下りたと分かるとにやりと笑った。
「そう?それじゃあ遠慮なくやっちゃおうか?兄弟。」
「久々の大暴れだ!鬱憤晴らさせてもらおうじゃないの!!!」
二人は威勢良く斧をブンブン振り回しながら部屋から出て行く。斧に掠ったドアがスパンスパンと綺麗に切れて、埃を巻き上げながら床に崩れ落ちた。
「それでは我々も退散する事にしよう。こんな廃屋にはもう用はない。エリオット、窓にロープを掛けろ。」
ジャックは頭の痛みから解放されて、ホッと一息付いたのもつかの間、ブラッドが胸元から手榴弾を取り出したのを見てギョッとした。
しかも一つじゃない。
手品の様に何個も出てくるのにサーっと青ざめた。


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bkm


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