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ブラッドは眉を顰め、ドアに寄り掛かったエリオットは耳がピンと立っていた。
二人供、考えもしなかった名前がジャックの口から出てきて、一瞬動きを止めてしまった。
そこへバタバタと廊下を駆ける音が聞こえて、ブラッドの部下の声がドアを開けるよう要請をした。
「ボス!ジャック・クロフォードの部下はすべて拘束しましたが、パロマさんの姿は何処にも見当たりません!尋問しても知らぬ存ぜぬの一点張りです!」
畏まってそう告げてきたのは部下1号だ。
「はぁ?パロマ??そんな名前の手下なんかいねーぞ。」
ブラッドの足の力が少し弱まって、楽になったジャックはそう告げる。
ブラッドとエリオットの視線がまたジャックに集まる。
「何を言っている、お前が潜入させた工作員だろう。何故そこに別の名前が出てくるんだ。」
「そんな女知らねぇよ。あ・・・そういや、大分前にお前が寄こした脅迫状の名前がそんなんだったか?だから関係ないっつってんだろ!」
少し楽になったのを良い事に、ジャックの口がスムーズに動く。自分が注目されていると分かると、ジャックは鼻息荒く女の自慢をし出した。
「ジョセフィーヌはオレの魂だ。お前んとこのカジノのNO.1ポールダンサーで、ホルスタイン級のボインなんだ。そんですっげー美人なんだぜ。腰がこうキュッと締まっててよぉ。性格がまぁちぃっとあれなんだが、可愛こちゃんにはありがちだろ?」
ペラペラと白状するジャックに、ブラッドはまるで違う生き物を見るかの様な視線を送る。
「何度もオレの所に来いって誘ってやってんのに、いっつもつれねぇんだ。お前の管轄だから、やたらに押しかける訳にもいかねぇし・・・。だから子分達にもあいつに悪い虫が付かねぇ様、偵察させてたんだ。」
給料が良い、待遇が良い、最後はボスがカッコ良いとまでほざきやがったんだ、あの女!とジャックは怒りを露わにする。
「・・・・どう言う事だ、ブラッド。」
エリオットがドアから彼らの傍まで近付く。彼の目は疑心暗鬼に揺れていた。
「あの奴隷がこいつの部下では無かったのは確定だな。―――そうなると、あいつは何故屋敷から逃げ出したんだ・・・。」
ジャックがまだジョセフィーヌを褒めちぎっていたが、ブラッドは顎に手を当て1人沈思する。


どこで食い違ったのか―――



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bkm


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