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廊下の突き当たりは円形の大きな空間に繋がっていた。
頭上高く尖った天井は、一点を中心に6か所が深く削られている。その6つの谷間は下に行くにつれ幅が広がり、大人の背丈の2倍近くはありそうなおうとつが出来ている。
「―――!!」
パロマはその部屋に足を踏み入れた途端、回れ右をしたくなった。
6か所に及ぶヘコミには、
巨大な甲冑像が6体、
まるで入ってきた者を罰するが如く、恐ろしげに見下ろしていたのだった。


一体一体がジィッとパロマを見据えてくる。甲冑の中には顔はない筈なのに、まるで中に潜んだ瞳がパロマを鋭く睨んでいる様だった。
パロマは逃げる事も忘れて立ち止まる。シンと静まり返る空間は空気まで重く、負の念に満ち満ちている。
パロマは威圧感に気圧されて動けなくなってしまった。
「こっちだぞーーー!皆配置に付け!!」
「扉を塞げ!出口はここだけ、敵はこれで袋小路だ!!」
聞こえてきた号令に、パロマの全身がビクッと反応する。こんな所で立ち止まっている場合ではなかったのだ。急いで辺りを見回すが、一人の兵士が大声で叫んでいた通り、パロマが通ってきた入口以外、外に繋がる道はない。窓さえもないのだ。
(どっどどどどどうしようっどこか、どこか隠れられる場所はっ?!)
唯一の頼み所は透明マントのみ。パロマはすぐさま走り出し、一体の騎士像に身を寄せ、息を潜めて自分は空気だと言い聞かせる。
しかし―――


「そこにいるのは分かっている。姿を現し降伏しろ。」


兵士たちは迷いも無く、パロマのいる位置の四方を固める。
1人の兵士がパロマの近くに手を伸ばした。するとその手がマントに掠りそのまま奪い去られてしまう。
何もない空間に、突如女の姿が現れた。兵士達の眼が驚きに見開かれる。


もう一歩も動けない。


逃げられない。


中正な甲冑像が
「お前が招いた罪を償え」と
無言の圧力をかけてくる。



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bkm


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