*始まり |
とある、一室。 「…ん?」 一人の男――跡部景吾が目を覚ました。 「どこだここは…ッ!?」 跡部が重い頭を上げて周りを見ると、そこは見慣れぬ、どこか不気味な場所だった。 そして自分以外にも倒れている人間を見て驚いた。 そこには、跡部と同じ学園の、宍戸亮、日吉若、鳳長太郎。 そして立海に通っている、幸村精市、真田弦一郎、仁王雅治、柳生比呂士がいた。 「な、んだよ…これは」 この現状では跡部も動揺を隠せなかった様だ。 (__なぜ俺様はこんな場所にいる? 思い出せ…ここに来る前のことを… 俺は、確か…そうだ。珍しく家の者が迎えにこれなくなって、それで代わりに黒づくめのスーツの奴らが迎えに…その車に乗ってからの記憶が曖昧で思い出せない… そうだ…そうだ。その車の中でいきなり眠気が襲ってきて… これは…) 「誘拐、か?」 ぽつりと跡部が呟いた。 【残念、誘拐だなんてそんな優しいものじゃないよ…?】 「…ッ!?」 自分達しかいないと、そして起きているのは自分しかいないと思っていた跡部は、部屋の中に響いたそのひどく優しく、しかしどこか気持ちの悪い声に驚き、警戒した。 「…誰だ、お前は…俺様たちに何か用かよ、アーン?」 心の中ではとても動揺していた跡部だったが、それを打ち消すように強い口調で言った。 【ふふ…、そうだね。それを話す前にそこにいる、君の知り合いを起こしてもらおうか…。】 「なぜ、俺たちが知り合いだと分かった…!!」 男の声にさらに警戒を強めた跡部。 既に跡部の声には余裕はないようだった。 【…それは、君たちが選ばれた犠牲者だからだよ】 その男は跡部に聞こえるか聞こえないかの声でそう言った。 やはり跡部はその声が聞こえないようだった。 「なんとか言ったらどうだ!!」 【大丈夫、全部話すから…。最初にその子たちを起こしなさい。】 「俺様に命令すんじゃねぇ…チッ…おい!お前ら!」 跡部は渋々、といったように自分以外の7人を起こし始めた。 その様子をモニター越しに見ながら口に弧を描いた1人の男がいた。 (さぁ、始まるよ。) (長い、永い、悪夢が…) ___________________________________________ プロローグにございます。 始まりがこんな駄文で申し訳ないです…(´・ω・`) 飛鳥ちゃんにバトンタッチ! ←→ |